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2026年9月9日(水) 東京 --

「子ども3人を殺害、でも有罪にならない?」産後精神病をめぐり陪審員が対立、米国で異例の裁判結果

引用:ニューシス
引用:ニューシス

米国で幼い3人の子どもを殺害した罪に問われた30代女性の裁判が、約6週間にわたる審理を経ても結論が出ないまま終了した。

争点となったのは、女性が子どもたちを死亡させたかどうかではなく、犯行当時、産後精神病によって刑事責任を問えない状態だったかどうかだ。報道によると、陪審員12人のうち11人が心神喪失を理由とする無罪に賛成したが、1人が反対し、全会一致の評決には至らなかった。

3人の子どもを殺害した母親 争点は「心神喪失による無罪」

ロイター通信やAP通信などが4日(現地時間)報じたところによると、米マサチューセッツ州のプリマス郡上級裁判所は、リンゼイ・クランシー被告(36)の第1級殺人罪を巡る裁判について、審理無効を宣言した。陪審員が7日間にわたって評議を続けたものの、全会一致の評決に至らなかったためだ。

クランシー被告は2023年1月、ボストン郊外ダックスベリーの自宅で、当時5歳の娘コーラちゃん、3歳の息子ドーソンちゃん、生後8カ月の息子カランちゃんの首をエクササイズ用のバンドで絞め、死亡させた罪に問われている。事件後には自ら命を絶とうとして重傷を負い、下半身まひになったと伝えられている。

約6週間に及んだ裁判では、クランシー被告が犯行当時、自らの行為が間違っていると認識できていたかどうかを巡り、検察と弁護側が争った。

検察は、クランシー被告が夫に子どもの薬と家族の夕食を買いに行かせ、自宅から遠ざけた後に犯行に及んだとして、計画的な殺人だったと主張した。

一方、弁護側は、末の子を出産した後にクランシー被告の精神状態が急激に悪化し、犯行当時は子どもたちを殺すよう命じる男性の声が聞こえるなど、重い精神病の状態にあったと反論した。

産後精神病は、出産した女性の約1,000人に1人が発症するとされる精神疾患で、不眠や不安に加え、重症の場合は幻覚や幻聴などが現れることがある。

弁護側は、クランシー被告が犯行当時、刑事責任能力を欠いていたとして、「心神喪失を理由とする無罪」の評決を下すよう求めた。

11人は無罪に賛成、1人は反対 7日間の評議後に審理無効

陪審員は、クランシー被告が3人の子どもを死亡させた事実については一致したものの、心神喪失を理由に刑事責任を免除できるかどうかを巡って意見が分かれた。

CNNなどによると、陪審員12人のうち11人が心神喪失を理由とする無罪に賛成し、1人が反対した。

意見の対立は評議の過程でも表面化した。審理無効が宣言される前日、陪審長は、1人の陪審員が有罪の判断に必要な「合理的な疑いを超える証明」という法的基準に従っていないと裁判長に報告した。弁護側はこの陪審員を外すよう求めたが、裁判長は認めなかった。

陪審員は評議7日目の4日、「全会一致の結論に達することができず、今後も困難だ」と裁判長に伝えた。これを受け、裁判所は有罪・無罪を判断しないまま、審理無効を宣言した。

審理無効は無罪判決を意味しない。検察は新たな陪審員を選任し、クランシー被告を再び裁判にかけることができる。検察側は再審を求めるかどうか、後日判断する方針を示した。

クランシー被告は現在、州立病院に収容されており、29日に予定される次回審理に出廷する見通しだ。再審で第1級殺人罪が認定されれば、終身刑を言い渡される可能性がある。一方、心神喪失を理由とする無罪が認められた場合は、州立精神科病院に措置入院となる可能性がある。

元夫は「許した」 トランプ氏も事件に言及

この事件をきっかけに、産後の精神疾患によって引き起こされた事件について、刑事責任をどこまで問うべきかを巡る議論が広がった。

裁判期間中には、産後うつや不安を経験した女性ら数百人が裁判所前に集まり、「彼女に必要だったのは助けだ」と書かれたプラカードを掲げ、クランシー被告への支持を訴えた。

元夫のパトリック・クランシー氏も、これに先立つメディアのインタビューで、元妻を許したと述べた。事件は精神疾患によって引き起こされたものだと信じているとの考えも示した。

全米の関心が集まる中、ドナルド・トランプ米大統領も、審理無効が宣言された同日、ホワイトハウスで事件に言及した。

トランプ大統領は「テレビで繰り返し報じられており、見ないようにしても目に入った」と述べ、クランシー被告が「恐ろしいことをした」と語った。そのうえで、何らかの形で責任を負うことになるとし、「精神科病院か刑務所、あるいはそのいずれかになるだろう」と述べた。

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