「夢の新兵器」に疑問 ロシアのツィルコン、終末速度はマッハ4.5まで低下

ロシアが「夢の新兵器」として誇ってきた極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」(3M22、Zircon)について、性能が誇張されているとの分析が示された。ウクライナ国防省情報総局(HUR)は31日(現地時間)、ツィルコンの残骸などを分析した結果、ロシアが主張する極超音速巡航ミサイルではなく、弾道ミサイルに近い飛行特性を持つことが分かったと発表した。
HURの分析によると、ツィルコンは全長約8メートルで、重量120キログラムの弾頭を搭載している。これは、ロシアが最近使用を増やしている新型巡航ミサイル「S8000バンデロール」の弾頭重量150キログラムを下回る。
これまでに確認された最高速度はマッハ6.8を超えず、目標に接近する終末段階ではマッハ4.5まで低下したという。ロシアが掲げてきた「迎撃不可能な兵器」との説明とは異なり、パトリオットミサイルで迎撃したとするウクライナ側の主張を裏付ける分析となっている。

エンジンの方式についても、ロシア側の説明とは大きな違いがあった。HURによると、ツィルコンは一般的な弾道ミサイルと同様、1段目のブースターと2段目の主エンジンのいずれにも固体燃料を使用し、準弾道軌道に沿って飛行する。射程は約1,000キロだという。
ロシアはこれまで、ツィルコンについて、マッハ9で飛行し、600~1,500キロ離れた目標を攻撃できる最新鋭の極超音速巡航ミサイルだと説明してきた。空気を取り込んで燃焼に利用する「スクラムジェットエンジン」を搭載しているとも主張していた。
また、ロシア独自の技術で開発したとしていたが、HURの分析では、米国を含む西側諸国の部品が使用されていることも確認されたという。
HURは、ツィルコンがロシアで最も高価なミサイルの一つである一方、弾頭が比較的小さく、破壊力も限定的だと分析。「迎撃不可能な最新鋭兵器」とするロシア側の説明は、実際の性能と隔たりがあると指摘した。

ツィルコンは、米海軍の空母打撃群を攻撃する対艦ミサイルとして2023年に実戦配備された。当初はロシア海軍の最新鋭フリゲート艦や潜水艦への搭載を想定して開発されたが、ウクライナ侵攻後は、地上からウクライナの都市を攻撃する用途にも使われるようになった。
一方、ウクライナメディアは、ツィルコンの性能が誇張されているとしても、依然として高い殺傷能力を持つ危険なミサイルだと指摘している。現時点で対抗できる手段は、パトリオット防空システムのPAC-3 MSE迎撃ミサイルに限られると伝えた。


