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2026年9月4日(金) 東京 --

「戦争のさなかに味方同士で銃撃戦」…ウクライナ情報機関、表面化した権力闘争

SBUがロシア人関係者を拘束する過程でHURと衝突

ゼレンスキー氏の政権掌握力低下の隙を突く形で、情報機関同士の対立が表面化

引用:ニューシス
引用:ニューシス

ウクライナの二大情報機関であるウクライナ保安庁(SBU)と国防省情報総局(HUR)傘下の特殊部隊が、首都キーウで銃撃戦を繰り広げた。

ロシアとの戦争長期化や大統領選挙の未実施などを巡り国内外から批判を受けているウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権掌握力が低下する中、情報機関同士の対立が公然と表面化した形だ。

2日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などによると、SBUとHURの特殊部隊は1日夜から2日未明にかけて、キーウ中心部の集合住宅で銃撃戦を繰り広げた。この過程で少なくともHUR隊員3人が負傷した。住民がSNSに投稿した映像には、銃撃戦が起きた集合住宅の外壁付近に血痕が残っている様子が映っている。

両機関の衝突は、HUR傘下部隊でウクライナ側を支援していたロシア国籍の人物で、ロシア義勇軍団の幹部でもあるステパン・カルプノフ氏を、SBUが最近約1週間にわたって拘束したことから始まった。

SBUは1日、HURが借りているキーウ中心部の集合住宅についても捜索を試みた。しかし、HUR側が捜索を阻止しようとしたことで銃撃戦に発展したという。

カルプノフ氏は銃撃戦の後に釈放されたが、SBUがどのような容疑で拘束していたのかは明らかになっていない。

ゼレンスキー氏「恥ずべきこと」 徹底的な真相究明を指示

ゼレンスキー大統領はSBUとHURによる銃撃戦について「恥ずべきことだ」と述べ、「ウクライナ国内で銃を向けるべき相手はロシアの占領軍だけだ」と強調した。

徹底的な真相究明を指示しているものの、今回の事件によってゼレンスキー氏の指導力が再び試練に直面したとの分析も出ている。

ゼレンスキー氏は2024年5月に5年間の正式な大統領任期を終えたが、戦時下の戒厳令を理由に大統領選挙の実施を延期している。

最近の世論調査では、ゼレンスキー氏との不和を経て退任したミハイロ・フェドロフ前国防相や、ウクライナ軍前総司令官で現在は駐英国大使を務めるヴァレリー・ザルジニー氏らが、ゼレンスキー氏を上回る支持率を記録している。

SBUとHURはいずれもウクライナを代表する情報機関だ。

ウクライナが独立した1991年に設立されたSBUは、国内防諜を中心にスパイ摘発やテロ防止など、情報機関として伝統的な役割を担っている。人員は約2万9,000人とされる。

一方、1992年に設立されたHURは、主に国外での情報収集や軍事情報を担当してきた。

ロシアによるウクライナ侵攻後は、ロシアが占領するウクライナ南東部でロシア軍将校を暗殺するなど、さまざまな秘密作戦を遂行してきた。SBU以上に実態が明らかになっていない組織で、具体的な人員規模なども公表されていない。

「FBI型」のSBUと「CIA型」のHUR、肥大化で対立激化

引用:ニューシス
引用:ニューシス

SBUを米国のFBIに例えるなら、HURはCIAのような役割を担う機関だ。

しかし、ウクライナ戦争の開始後、SBUがロシア本土へのドローン攻撃や暗殺作戦にも積極的に乗り出し、HURも国内外を問わず特殊作戦を展開するようになったことで、両機関の業務領域が大きく重なるようになった。

秘密作戦の主導権や、西側諸国から提供される情報資源の配分、戦果を巡る競争が激しくなったことで、両機関の確執が深まったとの分析もある。

2020年8月から2026年1月までHURを率いたキリーロ・ブダノフ前長官は、今年1月にゼレンスキー大統領の大統領府長官に就任した。

その後、オレフ・イワシチェンコ中将が新たなHURトップに就いたが、ブダノフ氏は現在もHURに強い影響力を持っているとされる。

このため、ブダノフ氏が大統領の側近として政権中枢に入ったことでSBU側の不満が高まり、HURとの対立がさらに深まったとの見方も出ている。

支持率低下が続くゼレンスキー氏に新たな政治的負担

SBUとHURの銃撃戦は、ゼレンスキー大統領にとって大きな政治的負担になるとみられている。

先月、ウクライナの世論調査会社「ソシス」が実施した調査によると、ゼレンスキー氏はザルジニー大使、フェドロフ前国防相のいずれとの大統領選決選投票を想定した一騎打ちでも、大差をつけられている。

ゼレンスキー氏とザルジニー氏の仮想対決では、支持率はそれぞれ33.8%、66.2%だった。

ゼレンスキー氏とフェドロフ前国防相の対決でも、それぞれ36.2%、63.8%となった。

特にウクライナの若年層では、フェドロフ前国防相の人気が高い。

1991年生まれのフェドロフ氏は今年1月、ウクライナ史上最年少で国防相に就任した。

軍事力で優位に立つロシアに対抗するため、ドローンなどの先端戦術の導入を主導し、「国民的英雄」として支持を集めている。

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