政府、低コストドローンで「非対称優位」確保へ

政府は、ウクライナ戦争で小型無人機(ドローン)が戦場の様相を一変させたことを踏まえ、低価格のドローンを大量投入する戦闘態勢への転換を本格化している。
偵察や情報収集が中心だった無人機の用途を攻撃や迎撃にまで広げ、低コストの機体を大量に運用することで、自衛隊の戦力構造を変える。相手の高価な装備に対する「非対称的優位」を確保すると同時に、慢性的な人員不足を補う狙いがある。
NHKや防衛省の3日の発表によると、自衛隊は偵察・情報収集用に加え、攻撃用や迎撃用ドローンの導入を急いでいる。
陸上自衛隊は2日、宮城県の王城寺原演習場で、侵攻してきた部隊への対応を想定した訓練を実施した。オーストラリアの防衛企業ディフェンデックスが開発した攻撃用小型無人機「ドローン40」も報道陣に初めて公開した。
防衛省は飛行距離に応じて3種類の攻撃用ドローンを導入する計画だ。上陸用車両などの地上目標、沿岸を航行する船舶、遠洋の艦艇をそれぞれ攻撃できる体制を整える。
無人機の戦力強化を急ぐ背景には、ロシアによるウクライナ侵攻がある。
防衛省の分析によると、ロシアは安価で大量生産が可能なドローンとミサイルを組み合わせ、大規模な攻撃を続けている。一方、ウクライナも低価格のドローンを大量投入し、ロシアの艦艇や爆撃機など高価な装備に大きな損害を与えている。
ロシアとウクライナは情報収集用ドローンも大量に運用し、前線の動きをほぼリアルタイムで把握している。運用を通じて収集したデータをメーカーに提供し、短期間で性能を改良する手法も採用している。
防衛省はこうした戦況分析を踏まえ、安価な無人機の大量運用によって、高い費用対効果を持つ「非対称的優位」を確保できるとみている。ドローンは、自衛隊の慢性的な人員不足を補う手段としても期待されている。
自衛隊と防衛装備庁が保有する小型無人機は、今年3月末時点で約2,800機に上る。保有数を公表していない攻撃用小型ドローンは、この数字に含まれていない。
陸上自衛隊は「スキャンイーグル」などの偵察・情報収集用無人機を運用している。海上自衛隊も、艦艇から発進して警戒監視や情報収集を行う無人機「V-BAT」を導入した。
関連予算も急速に拡大している。防衛省は今年、無人装備の強化に約2,773億円を計上した。
このうち約1,000億円を、偵察・攻撃・迎撃用の無人機を組み合わせて運用する沿岸防衛システム「SHIELD(シールド)」の構築に充てる。
