「サーバー不足で顧客を逃した」…MS、データセンター容量を3倍超に拡大
12GW→38GWに拡大計画利用可能なサーバーが不足一部の顧客は競合他社に流出も

マイクロソフト(MS)は、人工知能(AI)・クラウド事業の足かせとなってきたコンピューティング資源不足を解消するため、データセンターの電力容量を3倍以上に拡大する。サーバー不足によって競合他社に顧客を奪われる事態まで起きたことを受け、大規模なインフラ拡充に乗り出すことになった。11日、ブルームバーグ通信は、マイクロソフトが現在約12ギガワット(GW)である世界のデータセンターネットワークの容量を、2032年までに38GW以上に引き上げる予定だと報じた。米ニューヨーク州がピーク時に使用する電力量を上回る規模だ。今回の計画には、MSが自社で所有または賃借している施設も含まれる一方、コアウィーブなどのネオクラウドから借りる容量は除外されるとブルームバーグは伝えた。MSは現在のデータセンター容量では、AIとクラウドの需要に追いつけないと判断した。ブルームバーグは「最近のMSにとって最大の足かせは(データセンターの容量不足による)コンピューティング資源の不足だ」とし、昨年初めに一部のデータセンター開発を一時中断することを決めたことで、この問題がさらに深刻化したと指摘した。利用可能なサーバーそのものが不足すると、一部の顧客は競合他社に流れた。MSに成果を期待していた投資家の失望も大きくなった。
ブルームバーグは、入手した内部文書を引用し、実際に顧客が流出した事例を紹介した。米国や欧州などでは、新規のクラウドサービスへの加入が制限されたケースがあった。さらに、既存顧客だった中国のテムも、最終的にMSから希望していた追加容量を確保できず、昨年オラクルのクラウドサービスと大規模な契約を結んだとされている。
さらに、容量不足はサービス障害の原因としても指摘された。先月、MSのコーディングプラットフォーム「GitHub」で約8時間にわたるサービス障害が発生したが、ブルームバーグはデータセンターの容量不足が主な原因の一つだったと伝えた。AIを活用したコード作成の普及によって利用量が急増する中、GitHubはAWSなど他社のデータセンターまで利用し、不足している容量を補っている。
MSは、数百億ドル(約数兆円)の開発費を投じ、米国アトランタに「East US3」という新たなデータセンタークラスターを建設している。これにより、現在深刻な容量不足に直面しているバージニア州のMS最大のデータセンターハブの負担を軽減するとみられる。実際、巨額の投資も続いている。MSの直近の会計年度の設備投資額は1,450億ドル(約22兆3,000億円)に達したとされている。
ただし、計画通りにデータセンターを確保できるかどうかは不透明だ。米国ではデータセンターをめぐる地域社会の反発が強まっており、テキサス州などでは新規事業に歯止めをかける動きもみられる。ブルームバーグは「データセンターのサーバー構築には数年かかるうえ、今後AI技術や顧客需要が変化する可能性もあるため、MSの計画も変更される可能性がある」と説明した。

