「16万円→79万円」30歳未満の有価証券5倍…それでも資産格差は全年代で最大
18~24歳の金融資産のジニ係数0.718、全年齢層で最高
所得格差は縮小も、資産格差はむしろ拡大
20代のNISA口座保有率25%…資産形成で出遅れ

30歳未満の若者の有価証券の平均保有額は、この10年間で約5倍に増えた一方、若年層内の資産格差は全年齢層で最も大きいことが分かった。株高や非課税投資制度の拡充の恩恵を受けた若者と、投資に参加できなかった若者との間で、資産の二極化が進んでいるとの分析だ。
10日、日本経済新聞(日経)が総務省の全国約9万世帯を対象とした調査データを分析した結果、30歳未満の有価証券の平均保有額は2014年の16万円から2024年には79万円に増加した。
平均保有額だけを見ると、若年層の資産形成が急速に進んでいるようにみえるが、不平等の度合いを示すジニ係数では正反対の結果となった。ジニ係数は1に近いほど、資産が一部に集中していることを意味する。
2024年の18~24歳の金融資産のジニ係数は0.718で、全年齢層の中で最も高かった。25~34歳も0.682に達した。2019年と比べると、それぞれ0.017、0.005上昇した。
全年齢層全体の金融資産のジニ係数も、2019年の0.664から2024年には0.678に上昇した。一方、可処分所得のジニ係数は同期間に0.288から0.286へとわずかに低下した。所得格差はやや縮小したものの、金融資産の格差はむしろ拡大したことになる。
若年層では所得格差も目立った。25~34歳の可処分所得のジニ係数は0.256で、35~44歳の0.252を上回った。生産年齢層では一般に年齢が上がるほど所得格差が広がるが、今回は若い労働者の間でより大きな格差がみられた。
企業規模による初任給の差も、資産形成の格差を広げる要因として挙げられている。帝国データバンクによると、今年4月に入社した大卒新入社員に月25万円以上の初任給を支給した企業の割合は、大企業では30%だったのに対し、中小企業では17%にとどまった。
若年層は、少額投資非課税制度(NISA)の口座保有率も他の年齢層より低かった。
金融庁によると、昨年12月末時点でNISA口座は2,821万口座あり、このうち20代が保有する口座は337万口座だった。20代では約4人に1人しかNISA口座を持っていない計算だ。30代、40代、50代では約3人に1人が口座を開設していた。
金融資産の格差は、所得格差よりも一度広がると縮小しにくい。投資の有無によって生じた収益の差が長期にわたって積み重なるためだ。若年期の所得や雇用形態が投資への参加を左右し、将来の資産格差まで拡大させかねないとの懸念が出ているのはこのためだ。
ニッセイ基礎研究所の野村彰宏主任研究員は「世代間の賃金格差が縮小し、資産形成が進んだ一方、金融資産の格差はすべての世代で拡大した」とし、「正規・非正規間の同一労働同一賃金などの対策が必要だ」と述べた。
一方、家計の金融資産は2025年度末に過去最高となる約2,400兆円に達した。このうち株式と投資信託は564兆円で、全体の23.6%を占めた。株式と投資信託の比率が2割を超えたのは、バブル経済期と同程度の水準である。


