AI時代に運動部学生の採用需要高まる、日本企業が実行力や粘り強さを評価

日本企業が、大学の運動部出身者の採用に積極的に乗り出している。人工知能(AI)の普及で採用市場が急速に変化するなか、運動部活動を通じて培った実行力や協調性、粘り強さなどが、AIでは代替しにくい能力として評価されているためだ。
26日の日本経済新聞(日経)によると、キャリアプラットフォームを運営するハウテレビジョンは最近、東京都内で有名大学の運動部に所属する学生を対象とした企業合同説明会を開いたという。慶応義塾大学や早稲田大学、東京大学などの学生約70人が参加した。
ハウテレビジョンの新卒採用メディア事業部の中島亮介部長は「AIの普及で新卒採用にも変化が表れている」としたうえで、「運動部の学生に対する需要はむしろ高まっている」と話した。企業は単純な運動能力よりも、チームワークや目標に向かって努力してきた経験を高く評価しているという。
企業が自ら運動部の学生にアプローチするケースも出ている。建材メーカーの城東テクノは、大学の運動部に所属する卒業予定者を対象に直接採用活動を行い、サッカー部やソフトテニス部出身の人材を採用した。城東テクノの人事担当者は、運動部の学生は練習のため就職活動に割ける時間が少なく、応募する企業を早い段階で絞り込む傾向があるとし、企業側も学生と接触する機会を積極的につくる必要があると説明した。
企業が運動部出身者に注目する理由は、競技での成績そのものよりも、目標を設定し、失敗を重ねながらも最後まで挑戦した経験にある。KPMGコンサルティングの採用責任者は「スポーツはどれだけ努力しても成果が保証されない分野だ」とし、「不確実な状況で試行錯誤を重ねながら、最後まで努力した経験そのものがビジネスでも大きな財産になる」と話した。
就職情報を手掛けるポートがエントリーシートを分析した結果からも、こうした特徴が表れている。運動部出身の学生はエントリーシートで「継続する」、「粘り強い」といった表現を比較的多く使っていた。一方、一般の学生は「主体性」、「リーダーシップ」、「効率性」などを自身の強みとして挙げる傾向があった。
運動部での経験を採用活動で積極的に評価する企業も急速に増えている。ポートによると、2026年卒の学生を採用した企業のうち、「運動部経験」を採用条件に掲げた企業は約150社だったという。全体の約10%にあたり、5年前に比べて3倍以上に増えた。職種別では営業職と総合職がそれぞれ約40%を占めた。運動部出身者を求める業種も、従来の商社や製造業を中心とした構成から、コンサルティングやITなどへ広がっている。
ポート・採用教育部の北原瑞起部長は、運動部出身者について実行力のある人材層だと評価し、「簡単にくじけず、困難に直面しても諦めない姿勢は、企業にとって非常に魅力的だ」と話した。

