米国はインフレ、中国はデフレ…国債利回りの差が過去最大に

米国と中国の10年国債利回りの格差(スプレッド)が過去最大の水準まで拡大したことが分かった。中東発のインフレと財政悪化への懸念で米国の長期国債利回りが急騰した一方、中国ではデフレ圧力の中で低金利基調が固定化しているためだ。両国で逆方向に動く金利を背景に、低コスト調達を狙った人民元建て債券の発行が増える一方、中国の資本流出リスクを高める可能性があるとの分析も出ている。
9日、ブルームバーグ通信によると、米国と中国の10年国債利回りの格差は317bp(1bp=0.01%ポイント)まで拡大した。同日、米10年国債利回りは4.85%まで上昇し、2023年以来の最高値を記録した一方、同じ満期の中国国債利回りは1.68%と横ばい圏にとどまったためだ。ブルームバーグは「関連統計の集計を始めた2002年以来、最大の格差だ」と説明した。
最近の米国債市場では、長期債を中心に売りが強まっている。中東での戦争の影響で国際原油価格が急騰し、インフレが再び広がるとの懸念が強まったためだ。巨額の財政赤字と連邦政府債務が膨らむとの見通しも市場の重しとなっている。
米財務省は同日、長期国債のバイバック(早期買い入れ)の上限を最大60億ドルとした。当初予定されていた1回当たり20億ドル(約3,070億4,000万円)の3倍に当たる規模だ。しかし、ウォール街では80億~100億ドル(約1兆2,300億~1兆5,400億円)まで予想されていたため、高まっていた市場の期待には届かなかったとの評価を受けた。これを受け、発表直後に10年国債利回りは取引時間中に4.85%まで上昇した。債券の利回りは価格と逆方向に動く。
中国の状況は正反対だ。世界の主要国が高い物価を抑えるため高金利政策を続けるのとは異なり、中国は数年来続くデフレから脱することが当面の課題となっている。ロイター通信は「巨額の国内貯蓄や、国債に代わる安全資産の不足なども債券買い需要を支えている」と指摘した。これを受け、中国の10年国債利回りは2024年末から2%を下回っており、今年に入ってからも低下傾向が続いている。
一部では、中国の低金利を活用しようとする動きから、人民元建て債券の発行が大きく増えている。フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、今年のディムサム債とパンダ債の発行額は合計1兆人民元(約22兆9,400億円)を超え、過去最高を更新した。ディムサム債は中国本土外で発行される人民元建て債券で、パンダ債は外国企業や政府などが中国本土で発行する人民元建て債券だ。
中国の低金利は人民元の価値にも影響を与える可能性があるとの見方も多い。米国の債券利回りが上昇するほど、世界の投資家が低利回りの中国資産を保有する誘因は弱まる。これは中国から海外へ資金が流出しようとする圧力を高め、人民元相場の下押し要因になり得るという。ブルームバーグは「人民元は堅調な輸出のおかげで強含んでいる」とし、「中国と米国の金融政策の違いは人民元の安定性を脅かしている」と分析した。
