「米中対立でも貿易は止まらない」直接取引が4割減る一方、第三国を経由する“新ルート”が拡大

米中対立や地政学的な緊張が続く中でも、世界の貿易網は米中両陣営に分断されるのではなく、第三国を経由する形で再編されている。2025年の米中間の直接貿易は2022年に比べて約40%減少した一方、ベトナムやインド、メキシコなどを経由する貿易が拡大し、世界貿易は増加基調を維持した。
韓国銀行(中央銀行)は11日に公表した「地政学的分断の中でグローバルな経済連携はどのように再編されているのか」と題する報告書で、こうした分析を示した。
報告書によると、近年のサプライチェーン再編は、冷戦期のように世界経済が複数の陣営へ完全に分かれる形ではなく、貿易の経由地が変わる形で進んでいる。
特にベトナムやインド、メキシコなどは、政治・安全保障面で米国との関係を深める一方、中国を中心とする生産網や経済関係も維持している。米中間の経済的なつながりを支える「コネクター国家」として存在感を高めているという。
こうした変化は、アジアの輸出構造にも表れている。報告書が韓国からベトナムへの輸出を分析したところ、輸出によって生み出された付加価値のうち、米国の最終需要につながる割合は、2016年の11.1%から2022年には18.5%へ上昇した。中国の最終需要につながる割合も、同期間に7.3%から13.9%へ上昇した。
半導体・電子部門では、米中両国とのつながりがさらに強まった。米国の最終需要につながる割合は12.8%から21.0%へ、中国は11.2%から19.4%へ、それぞれ上昇した。
半導体や電子部品などの中間財をベトナムへ輸出し、現地で加工・組み立てた後、米国や中国の市場へ供給する構造が拡大したことを示している。
米国向けサプライチェーンの経由地にも変化が見られた。米国の最終需要につながる輸出付加価値のうち、東南アジア諸国連合(ASEAN)5カ国を経由する割合は、2016年の4.9%から2022年には8.3%へ上昇した。一方、中国を経由する割合は10.7%から6.8%へ低下した。米国へ直接つながる割合は73%前後を維持した。
報告書は、コネクター国家を通じたサプライチェーンの再編が、新たな通商リスクをもたらす可能性もあると指摘した。米国が原産地規則の適用や迂回輸出への調査を強化すれば、ASEANに生産拠点を置く企業にも影響が広がる恐れがあるためだ。
その上で、コネクター国家をサプライチェーンの緩衝地帯として活用するとともに、特定の国や生産拠点への依存度を引き下げる多角化戦略が必要だと提言した。
