「平均15%の金利でも借りられない?」 資金調達コストが急騰、米国の信用市場に広がる“二極化”
CCC以下の企業、スプレッド10.53%ポイント
利回り4.8%台の10年物国債にさらに10%上乗せ
高格付け・高金利のビッグテック社債に資金集中
債務不履行増加…「危険信号」との見方

信用リスクの高い米国の「ジャンク(junk)級」企業の資金調達コストが、昨年のドナルド・トランプ米大統領による「解放の日」関税ショック以来の最高水準に上昇したことが分かった。社債市場の二極化が進む中、信用市場の崩壊を招く引き金になりかねないとの懸念も強まっている。
5日(現地時間)、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、米10年物国債利回りは最近4.82%まで上昇し、2023年以来の最高水準を記録したという。10年物国債利回りは、世界各国の政府や企業、金融機関が債券発行や借り入れによってドルを調達する際の金利設定の基準となる。FTは、インフレの長期化に各国政府やAI企業による大規模な借り入れが重なった結果だと分析した。
これにより、信用格付けがトリプルC(CCC)以下の企業が直撃を受けた。こうした企業のスプレッドは10.53%ポイントに達し、1年前の8.08%ポイントから大幅に拡大した。平均15%の利回りを提示しなければ社債を発行できないことを意味する。もともと財務状況が脆弱な企業が債務を返済できず、債券市場の「火種」となる可能性も指摘されている。
コービン・キャピタル・パートナーズでクレジット部門の副最高投資責任者(CIO)を務めるジョン・コック氏は「信用力が最も低い企業に対する悲観論が出ている」と分析した。さらに「ここ数年、積極的な債務再編(debt restructuring)が相次いだことで、過剰なレバレッジ(借り入れ)を抱える企業に対する投資家の信頼も低下した」と付け加えた。
JPモルガンによると、今年の企業の債務不履行に関連する措置は、2025年比9%増の401億ドル(約6兆2,500億円)に達し、その大半は信用格付けが最も低い企業で発生したという。また、直近12カ月間の債務不履行企業の債券回収率は29%にとどまり、過去25年間の平均である40%を大きく下回った。債務不履行に関連する措置が最も多かった業種はケーブル・衛星産業で、産業財、製紙・包装業が続いた。
一方、信用格付けの高い企業の社債スプレッドは比較的安定しており、二極化がさらに進んでいるとの見方も出ている。高い利回りが得られる高格付け企業の社債に資金が集中する一方、ジャンク級社債は危険な状況にあるという。
ナインティワンでマルチアセット・インカム(株式、債券、不動産などさまざまな資産クラスを1つのポートフォリオに組み合わせた投資商品)部門を率いるジョン・ストップフォード氏は、こうした現象が「炭鉱のカナリア」のように、リスク資産売りのシグナルになり得ると説明した。22Vリサーチのテクニカル分析責任者、ジョン・ローク氏は「10年物国債利回りがこれほど上昇すると、必ず何かが崩れる」と語った。
なお、6日午後4時35分(日本時間)時点で、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の金利予測サービスFedWatchツールによると、米連邦準備制度(Fed)が今月、政策金利を25bp(1bp=0.01%ポイント)引き上げる確率は59.4%で、据え置きの確率を上回った。12月に政策金利を現在より50bp高い年4.00~4.25%まで引き上げる可能性も36.3%と予測された。予想以上に堅調な雇用も、こうした見方を後押しした。米労働統計局は、8月の非農業部門雇用者数が前月から16万2,000人増えたと発表した。これはブルームバーグがまとめた専門家予想の5万5,000人を大きく上回る水準である。
新型コロナウイルスのパンデミック以前の超低金利期に借り入れを増やした企業は、高金利環境への適応という課題に直面している。ダイヤモンド・ヒルのポートフォリオマネジャー、ヘンリー・ソン氏は「ゼロ金利環境下で生まれた企業は、高金利が長期間続く状況に耐えられるよう設計されていない」とした上で、「現在は事実上、かろうじて持ちこたえているだけだ」と述べた。
