出国税1000円→3000円、なぜクマ対策に60億円? 1300億円の使い道に議論

日本政府が海外へ出国する、すべての人に課している国際観光旅客税を3倍に引き上げ、得られた税収の一部をクマによる被害の防止や桜の害虫対策などに充てていることをめぐり、議論が起きている。
観光客の誘致やオーバーツーリズムの解消を目的に税率を引き上げたものの、実際には観光インフラの改善に十分活用されていないとの批判が出ている。
27日、香港メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、日本は7月1日から、外国人観光客と日本人の双方に課している国際観光旅客税を1人当たり1,000円から3,000円に引き上げた。これにより、2026年度には約1,300億円の税収が見込まれている。
日本政府は税率引き上げの際、オーバーツーリズムの問題を解決し、日本を海外旅行先としてPRするためには追加の財源が必要だと説明した。観光業界では、地方の観光人材の確保やガイドの育成、多言語案内板や観光情報の充実などに資金が投入されることを期待していた。
しかし、確保された税収の一部は、クマによる被害を防ぐ対策に60億円、桜の木を害する外来性のカミキリムシの駆除に6億円が配分された。このほか、漫画の原画を保存する施設や文化財の修復センター、古墳壁画の展示施設の整備などにも予算が投入される予定だ。また、日本のパスポート発給手数料を引き下げるための予算として164億円も追加で計上された。
旅行マーケティング分析家のアシュリー・ハービー氏は、クマによる被害防止対策について「主に国内世論を意識した支出に見える」と指摘。「ニューヨークから来る観光客が、日本を訪れるかどうかを決める際に、クマに襲われる可能性を基準にするとは思わない」と述べた。
実際、日本では今年4月以降、クマによる被害で55人が負傷し、6人が死亡しており、死者数は過去最多となった。負傷者のうち2人は外国人だった。日本の環境省は、外国人を含む登山客の安全にも関わる問題だとして、観光税の収入を対策に充てることを正当化している。
観光業界からは、観光税を引き上げたにもかかわらず、現場ではインフラ改善の効果を実感しにくいとの不満も出ている。旅行会社代表の坂東氏は「政府が業界に知らせることなく計画を変更するのは問題だ」とし、「多額の予算が支援されているにもかかわらず、観光インフラへの支出が増えたとは全く感じない」と批判した。
アシュリー・ハービー氏は「問題は、どれだけ多くの税収を確保するかではなく、そのお金をどのように使うかという方法論にある」と指摘し、複雑な行政手続きや官僚主義を減らす必要があると強調した。

