日本、東南アジアへの中古護衛艦輸出を推進…背景に「中国けん制」
中古護衛艦輸出へ法整備も

政府は東南アジアへの中古護衛艦の輸出を積極的に進めている。背景には、海洋進出を強める中国をけん制する狙いがあるという。
3日付の朝日新聞によると、政府はフィリピンに海上自衛隊の中古「あぶくま」型護衛艦を輸出する予定だ。
4月に殺傷能力のある武器の輸出を規制する「5類型」が撤廃されて以降、初の輸出事例となる見通しだ。
同紙は、こうした動きの背景に中国の海洋進出があると指摘した。
南シナ海では中国海警局の船とフィリピン船の衝突などが発生しており、日本は護衛艦の輸出を通じ、フィリピンの海軍力や対応能力の向上につなげたい考えだ。
朝日新聞によると、政府は中古護衛艦の輸出後も「整備などに関与することで、東南アジア諸国との安全保障関係を長期にわたり深化させることを目指している」という。
主な輸出対象として想定されているのは、新型兵器を購入する十分な資金力がない東南アジア諸国だ。中古護衛艦の輸出は、日本の安全保障の面でも重要な位置を占めているという。
フィリピンへの輸出が予定されている「あぶくま」型は、全長109m、全幅13.4mで、護衛艦としては小型だ。装備のバランスに優れ、小規模な港にも入港できることから、島しょ地域での運用に適しているという。
海上自衛隊は7月13日、青森県の大湊基地に停泊していた「あぶくま」型護衛艦「おおよど」を報道陣に公開した。
一方、「あぶくま」型は就役から30年以上が経過しており、故障した際に代替部品の調達が難しいという問題もある。配管や鋼板にも老朽化が見られる。
日本側は代替部品を確保するため、「あぶくま」型6隻のうち一部から必要な部品を取り外し、別の艦艇に転用する案なども想定している。
政府は、中古護衛艦の輸出に必要な法整備にも乗り出す。
現行の自衛隊法では、無償または著しく低い価格で譲渡できる装備品の対象から「武器」が除外されている。政府は来年の通常国会で同法を改正し、中古護衛艦を譲渡できるようにする方針だ。
日本はフィリピンに加え、インドネシアへの中古護衛艦輸出も進めている。
両国は「あさぎり」型護衛艦の輸出に向けた協議を開始した。小泉進次郎防衛相はインドネシアを訪問し、インドネシアのシャフリ国防相と早ければ10日に会談する方向で検討している。護衛艦輸出も議題に上るとみられる。
「あさぎり」型は「あぶくま」型より大型で、哨戒ヘリコプターが発着できる甲板を備えている。広範囲の警戒・監視や長期間の海上展開に適しているとされる。
当初、インドネシアのプラボウォ大統領は「もがみ」型護衛艦に関心を示し、日本側も輸出を検討した。しかし、価格の問題などから輸出が保留された経緯がある。
プラボウォ大統領は日本の潜水艦にも関心を示したが、最先端技術が集約された潜水艦の輸出については、海上自衛隊内部で否定的な意見が根強かった。
このため、日本側が代わりに提案したのが「あさぎり」型だ。ただ、防衛省内部からは「相手側が『あさぎり』型で満足するかは不明だ」との声も出ている。
ベトナムも過去に、日本の中古護衛艦の輸出に関心を示したことがある。
