新車が伸び悩むトヨタ、ソフトウェアで稼ぐ…2030年に営業利益3兆円へ
世界で保有される約1億5,000万台を生かし、部品・サービス販売で収益源を多角化

トヨタ自動車が、すでに販売した車両にソフトウェアや各種サービス、部品を提供する「バリューチェーン事業」の収益拡大に乗り出す。新車販売台数が伸び悩む中、既存車両の機能アップグレードを支援し、付加価値を生み出す戦略だ。
7日の日本経済新聞(日経)によると、トヨタはソフトウェアアップデートやリースなど、新車販売以外の事業による営業利益を2030年までに3兆円へ拡大する計画だ。現在の水準から40%増となる。日経は「新車販売台数に応じて業績が左右される『売って終わり』の事業構造を転換する」と分析した。
新車販売台数の伸び悩みが、収益源の多様化を進める背景になっているとの見方がある。トヨタの2026年上半期の世界販売台数は500万8,000台で、前年同期比2.9%減少した。イラン戦争によりホルムズ海峡の航行が困難になり、中東での販売台数が前年同期比21.6%減少したほか、中国市場でも17%超減少したことが影響した。
一方で、通信機能を活用して安全運転を支援したり、タイヤやナビゲーションなどの部品を販売したりするバリューチェーン事業が注目されている。新車販売台数が減少しても、トヨタは世界販売首位の自動車メーカーだ。堅調な販売実績を背景に、世界で保有されているトヨタ車は約1億5,000万台と推定されており、これらの車両に追加のサービスや部品を提供することで収益拡大につなげる考えだ。バリューチェーン事業の営業利益はすでに2兆円規模に達しており、トヨタは今後、営業利益を年約1,500億円ずつ積み上げることを目指している。
具体例として、スポーツカーのGRヤリスとGRカローラでは、電子制御システムが高温になった場合に、スマートフォンアプリを通じて冷却機能を強化できるようにした。2025年に発売したSUV「RAV4」には、自社開発のソフトウェア基盤「Arene(アリーン)」も搭載した。スマートフォンのようにソフトウェアアップデートによって車両性能を高める「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」は、次世代自動車の重要な方向性として注目されている。
部品供給などの物流基盤も拡充する。ベルギーに補修用部品の中央倉庫を設け、16か所の地域ハブ倉庫を通じて50か国に部品を供給できる体制を構築した。中古車販売戦略も強化する。中古車の購入後でも、障害物検知などの安全機能を後付けできるようにする仕組みだ。
UBS証券の高橋浩平アナリストは「トヨタは新車販売後の利益を高め、業績を拡大している。中国企業との大きな違いだ」と述べた。日経によると、世界の自動車メーカーもOTA(Over The Air)によってソフトウェアを更新し、車両機能を高める取り組みを拡大している。テスラは運転支援システムを月額料金で提供する方式を採用している。
