露ドローン、ウクライナ「情報機関トップの執務室」を直撃…報復はどこへ向かうのか
クリミア大橋・ロシア空軍基地・エネルギー施設を狙ってきたSBU…後方攻撃の前例に注目
ゼレンスキー大統領、今回の攻撃を踏まえた対応を指示…実際の標的はまだ明らかにされず

ロシアのドローンがウクライナの首都キーウ中心部にある情報機関本部を直接攻撃したことを受け、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は直ちに報復を指示した。ウクライナの対応がロシアのどこに向かうのか、関心が集まっている。
攻撃を受けたのはウクライナ保安局(SBU)本部だ。SBUは防諜と対テロを担う情報機関だが、戦争開始後はロシアの占領地域や本土の奥深くを狙った秘密作戦を主導してきた。
ロイター通信などによると、ロシアのドローンは4日(現地時間)午後、キーウ中心部のSBU本部を攻撃した。ウクライナ側は、SBUトップの職務代行の執務室が標的だったと明らかにした。職務代行は当時、執務室におらず負傷しなかった。
2022年にロシアが全面侵攻を開始して以降、キーウのSBU本部が直接攻撃を受けるのは初めてとされる。現地当局によると、少なくとも12人が負傷した。
ゼレンスキー大統領はその後、SBUに「適切かつ実質的な対応」を準備するよう指示した。特に、可能であれば今回の攻撃を踏まえた形で対応するよう求めた。
具体的な標的や方法は明らかにしていない。ただ、SBUがこれまで実施してきた作戦から、今後の対応の方向性を探る手掛かりはある。
クリミア大橋・空軍基地・製油施設…ロシア後方を揺さぶってきたSBU

最も象徴的な標的の一つがクリミア大橋だ。ロシア本土と占領地クリミア半島を結ぶこの橋は、ロシア軍の重要な補給路であると同時に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって政治的な象徴性の高い施設でもある。
SBUは、戦争開始後に起きたクリミア大橋への攻撃の一部への関与を公に認めている。前線ではなく、ロシアが安全だと考えていた後方の重要施設を狙う手法だ。
ロシアの戦略爆撃機もSBUの主要な標的となってきた。
代表例が、いわゆる「スパイダーウェブ作戦」だ。ウクライナはロシア内陸部にある複数の空軍基地をドローンで同時攻撃し、戦略爆撃機を標的とした。この作戦をSBUが主導した。
長距離爆撃機は、ウクライナの都市やインフラへの攻撃に使われるロシアの主要な戦略資産だ。空軍基地を再び標的とすれば、今回のSBU本部攻撃に対する軍事的な対抗措置として象徴的な意味を持たせることができる。
エネルギー施設も候補に挙げられる。ウクライナは最近、ロシアの製油施設や石油貯蔵施設などをドローンで繰り返し攻撃してきた。ロシアの戦争遂行能力に加え、輸出による収入源にも打撃を与える狙いがある。
ただ、ウクライナがこれらのうち特定の施設を今回の報復の標的に決めたとの情報はまだない。過去の攻撃例から、考えられる方向性を探ることができるにすぎない。
「同じ方式」の報復なら…指揮・情報関連施設も注目
ゼレンスキー大統領が今回の攻撃を踏まえた対応を指示したことから、ロシアの指揮・情報関連施設も標的の候補として注目される可能性がある。
ロシアがウクライナ情報機関の指揮部を狙ったのであれば、ウクライナも軍の指揮施設や情報機関関連施設を標的に対抗措置に出る可能性があるとの見方だ。ただ、こうした施設は警戒や防空が厳重なうえ、民間人に被害が及ぶリスクも考慮しなければならない。
ウクライナがこれまで多用してきたのは、正面衝突よりもドローンや特殊作戦を活用し、ロシア後方の弱点を突く手法だ。
ロシア本土の奥深くにある空軍基地やエネルギー施設を攻撃すれば、比較的少ないコストで軍事・経済の両面に打撃を与えられる。クリミア大橋のように象徴性の高い施設であれば、心理的な効果も大きい。
一方、攻撃範囲がロシアの主要な指揮施設にまで広がれば、双方による報復の応酬がさらに激化する可能性もある。
今回のSBU本部への攻撃は、ロシアとウクライナのドローン戦が単なる前線支援を超え、相手の後方にある重要施設を狙う段階にまで拡大したことを示している。
特に、ロシア後方への攻撃を主導してきたSBUが今回は直接攻撃を受けたことで、双方の「報復の悪循環」が再び激化する可能性が高まった。
焦点は、ゼレンスキー大統領が求めた「実質的な対応」をSBUがどのような形で実行するかだ。クリミア大橋や空軍基地、エネルギー施設など過去の攻撃例は数多いものの、実際の標的はまだ明らかにされていない。次の攻撃がどこに向かうかによって、ロシアとウクライナによる後方攻撃の応酬の激しさも変わるとみられる。
