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2026年9月9日(水) 東京 --

「一世代に一人の人材」“アフガン最後の米兵”が退役 2つの要職を阻んだヘグセス氏

NYT、軍関係者の証言を基にドナヒュー氏の退役の背景を報道

欧州連合軍最高司令官・陸軍参謀総長候補、いずれもヘグセス氏の反対で実現せず

ドローン戦力化を構想した「軍きっての人材」 先月27日に退役

アフガニスタンからの撤退作戦で「アフガンに残った最後の米兵」として世界的に知られたクリストファー・ドナヒュー米陸軍大将が、ついに軍服を脱いだ。次期陸軍参謀総長の有力候補で、欧州軍司令官候補にも名前が挙がっていたドナヒュー氏の退役の背景には、ピート・ヘグセス米国防長官との長年にわたる対立があったと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が6日(現地時間)、40人以上の軍関係者の証言を基に報じた。

2021年8月30日午後11時59分(現地時間)、カブール国際空港から米軍のC17輸送機5機のうち最後の1機が離陸し、20年に及んだ米軍のアフガニスタン駐留に幕を下ろした。ジョー・バイデン政権が設定した撤退期限の8月31日まで、わずか1分を残した時点だった。

この輸送機に最後に乗り込んだのは、当時、第82空挺師団長を務めていたドナヒュー氏だった。指揮官が最後に搭乗する空挺部隊の伝統に従い、ドナヒュー氏は午後11時46分に機内に入り、その姿は軍のカメラマンが夜間暗視装置を使って撮影した。「アフガン最後の米兵」と題されたこの写真は、世界中に広まった。

撤退の4日前に当たる8月26日には、空港のアビーゲート前でイスラム国(IS)による自爆テロが発生し、米軍兵士13人とアフガニスタン人170人以上が死亡した。この惨事は、2024年の米大統領選でも争点となった。バイデン政権による作戦遂行の不備が原因だとする主張と、ドナルド・トランプ米大統領の第1次政権時代にタリバンと締結したドーハ合意が発端だったとする主張が対立した。

トランプ大統領は「アビーゲートの自爆テロで責任を取った将官は誰もいない」と繰り返し批判してきた。トランプ第2次政権の発足後、ヘグセス国防長官が主導した将官の人事刷新の対象には、アフガニスタン撤退後、第18空挺軍団長(中将)を経て、陸軍欧州・アフリカ軍司令官(大将)に昇進したドナヒュー氏も含まれていた。

ヘグセス氏は参謀らに対し、「トランプ大統領はアビーゲートの自爆テロについて、責任を問おうとしている」と伝えたとされる。実際、当時アビーゲートの警備を担当していたのはドナヒュー氏が率いていた空挺師団ではなく、海兵隊だったとの反論も出たが、ヘグセス氏はこれを受け入れなかった。さらに、撤退時に撮影された写真についても、自己宣伝のためのものではないかとの趣旨の発言をしたと伝えられている。

その後、ドナヒュー氏の軍歴は順風満帆とはいかなかった。北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官の有力候補とみられていたが、ダン・ケイン米統合参謀本部議長が強く推薦したにもかかわらず、別の人物が任命された。

軍内外で信望を集めていたドナヒュー氏は、ほどなくして次期米陸軍参謀総長の有力候補として再び名前が挙がった。ランディ・ジョージ米陸軍参謀総長とダン・ドリスコル米陸軍長官がドナヒュー氏を強く推薦したが、自身に近い人物を陸軍参謀総長に据えたいと考えていたヘグセス氏は3月、ジョージ氏を通じてドナヒュー氏に辞表を提出するよう伝えたとされる。

ドナヒュー氏を擁護していたジョージ氏も、4月、ヘグセス氏からわずか15秒間の電話で解任を告げられ、任期を全うできないまま退任した。ドリスコル長官は、友人のJ・D・バンス米副大統領との会談をドナヒュー氏のために取り持ち、陸軍参謀総長への起用を後押ししようとしたが、ヘグセス氏の反対で実現しなかった。ドリスコル氏自身も最近、辞任した。ティム・シヒ上院議員やジョニー・アーンスト上院議員らによる議会での働きかけも、ヘグセス氏の強硬な姿勢を変えるには至らなかった。

NYTは、「デルタフォース出身のドナヒュー氏は、特殊作戦や指揮・統制の分野に精通しており、軍内では『一世代に一人いるかどうかの人材』と評価されてきた」と伝えた。

ドナヒュー氏は欧州でウクライナ支援任務に当たっていた際、ドローンが戦場の様相を変えると見込み、ドローンや迎撃機、人工衛星、人工知能(AI)を組み合わせた「東部戦線抑止構想」を策定した。この構想を陸軍全体に拡大する試みは頓挫し、その後、米軍は中東でイランによるドローン攻撃に苦しむことになった。ウクライナで運用されていたドローン迎撃システムを中東に展開する米軍に緊急導入したのも、ドナヒュー氏だった。

アイオワ州選出の共和党上院議員ジョニー・アーンスト氏は、ドナヒュー氏に「米陸軍未来司令部を任せ、構想を実現してみてはどうか」と提案した。しかし、ドナヒュー氏は「ヘグセス氏が本当に私と一緒に働くと思うか」と首を横に振ったという。ドナヒュー氏は結局、先月27日に退役した。

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