「関税の次は輸入禁止」トランプ氏、カナダ製品の一部を異例の禁輸措置へ

ドナルド・トランプ米大統領は、カナダ産のオートバイや乳製品、酒類などの輸入を全面的に禁止する布告に署名した。
トランプ大統領は2017年1月に発足した第1次政権以降、外国製品への関税を繰り返し引き上げてきたが、全面的な輸入禁止措置に踏み切るのは初めてだ。
発効日は29日(現地時間)に設定されており、それまでの交渉に含みを残した。ただ、トランプ政権の通商政策が、関税を超えて、より強硬な輸入禁止にまで踏み込んだとの見方が出ている。
ホワイトハウスが8日発表したところによると、トランプ大統領は布告で「1930年貿易法338条は、外国が米国への差別的な措置を維持または強化した場合、その国の物品を輸入から排除する権限を与えている」と主張。カナダが米国の商取引に対する差別を続けていると認定した。
そのうえで「特定のカナダ製品は9月29日午前0時1分(米東部時間、日本時間同日午後1時1分)以降、米国への輸入を禁止する」と表明した。
対象品目には、オートバイ、乳製品、ノンアルコールビール、ビール、ワイン、ブランデー、ウイスキー、バーボン、ラム、ウォッカなどが含まれる。
1930年に制定された貿易法338条は、外国が不合理な規制や差別的な扱いを行った場合、大統領がその国の製品に最大50%の関税を課すことができると定めている。差別的な措置が是正されない場合には、輸入そのものを禁止する権限も大統領に認めている。
ジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表も最近、こうした措置に踏み切る可能性を示唆していた。
グリア氏は先月末、米CNBCのインタビューで「われわれはこれまで、このような輸入禁止措置を取ったことがない。かなり極端な措置だ」としながらも、「必要になるかもしれない」と述べた。
米連邦最高裁判所は2月、トランプ政権の相互関税を違法と判断し、政権が根拠とした法律では大統領に関税を課す権限はないとの結論を示した。一方、一定の条件下では輸入を禁止できるとの趣旨の判断も示した。
これを受け、トランプ大統領は当時、「禁輸措置は取れるのに、関税は一銭も課せない」と不満を表明していた。
米ニュースサイトのアクシオスは、「トランプ大統領は、外国製品の輸入を全面的に禁止するという新たな手段を持ち出し、より強硬な貿易戦争の武器を使い始めた」と報じた。
さらに「トランプ政権の通商政策における重大な転換だ」とし、「関税以上に大きな経済的影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
前例のない輸入禁止措置が実際に発動されれば、カナダとの通商関係だけでなく、米国と交渉するほかの貿易相手国に対する圧力も一段と強まる可能性がある。

