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2026年9月9日(水) 東京 --

「2131億円投入」日本がLNG船建造を7年ぶり復活へ 韓国に技術協力求める案も

商船三井、巨済で帆2基搭載のLNG船を公開

日本の環境技術と韓国の建造能力を融合

LNG船の建造再開に向け技術協力も推進

引用:商船三井
引用:商船三井

日本の造船業再建が本格化する中、韓国との協力も拡大している。政府が主要造船会社に約2,131億円を超える補助金を投入し、LNG船の国内建造再開を進める一方、海運会社は韓国の造船所の建造能力を活用し、次世代の環境配慮型船舶を確保している。世界市場で存在感を失いつつある日本の造船業を立て直しながら、韓国の技術や生産能力も活用するという、競争と協力が併存する構図が形成されている。

国内最大の海運会社、商船三井は7日、慶尚南道巨済市(キョンサンナム道コジェ市)のハンファオーシャン造船所で、大型の帆2基を搭載した液化天然ガス(LNG)運搬船を公開した。米石油会社シェブロン向けの同船には、商船三井が開発した風力補助推進システム「ウィンドチャレンジャー」が採用された。風を推進力として利用し、燃料消費量を最大12%削減することを目指す。日本の環境配慮型推進技術と、韓国が強みを持つLNG船の建造能力を組み合わせた事例だ。

船体前方の左右に設置された帆は、幅約15メートル、最大高さ約49メートルに達する。3段階に伸縮するほか、左右に180度回転できる。センサーが風向や風速を検知して帆の向きと高さを自動調整し、悪天候時や入出港時には帆を畳んで安全性と視界を確保する。

商船三井は2009年から国内の大学などと共同でウィンドチャレンジャーを開発してきた。帆1基を搭載した石炭運搬船では、1航海当たり平均5~8%の燃料削減効果を確認した。今回のLNG船では初めて帆2基を搭載し、燃料削減効果を最大12%まで高められると期待している。年内に2隻目を竣工するほか、韓国の大手造船会社と帆4基を搭載する新型船も開発する計画だ。

LNG船復活に向け韓国との技術協力も検討

政府は韓国と協力し、国内のLNG船建造能力の復活を目指している。日本では2019年以降、国内でのLNG船建造が途絶え、関連技術やサプライチェーンが弱体化した。特に、世界のLNG船市場で標準となっているメンブレン型LNGタンクの製造能力確保が課題となっている。政府と造船業界はこれを補うため、HD現代重工業など韓国の造船会社に技術協力を求める案も検討している。

政府がLNG船の復活に力を入れる背景には、エネルギー安全保障の問題がある。発電用燃料や都市ガスに使われるLNGの大部分を海外から輸入している日本では、現在約100隻のLNG船が輸入輸送に使われている。船舶の更新周期を約20年とすると、輸送能力を安定的に維持するには年間5隻程度を国内で建造する必要があるとの計算だ。韓国の技術を活用して建造の空白を埋めながら、長期的には独自の建造体制を構築する構想だ。

引用:商船三井
引用:商船三井

政府による支援も本格的な執行段階に入った。金子恭之国土交通相は4日、主要造船会社に対し、2034会計年度までの10年間で総額2,131億円を支援すると発表した。今治造船と系列会社の多度津造船に1,138億円、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)に494億円、名村造船所と函館どつくに499億円が配分された。資金は自動化設備や研究開発などに投入される見通しだ。

今回の支援は、3,500億円規模の「造船業再生基金」が執行される初の事例となる。政府は今後10年間で、官民合わせて1兆円規模の造船業投資を促す計画だ。韓国や中国に比べて遅れている生産能力や効率性を引き上げ、LNG船など高付加価値船舶市場への再参入を目指す。

自衛隊・米軍への採用目指す無人水上艇も量産へ

造船業の事業領域は防衛産業にも広がっている。中堅造船会社、尾道造船は、米スタートアップのブルワーク・ダイナミクスが開発した無人水上艇(USV)を国内で量産する。2028年までに年間30~50隻を建造できる体制を構築し、自衛隊と米軍への採用を目指す。

この無人艇は、水や食料、燃料、医療品、弾薬などを運ぶ自律航行型の小型輸送船だ。水深約20センチの浅い沿岸部にも接近できるため、港湾施設のない地域への軍需品補給や災害救援に活用できる。AIとセンサーを利用し、GPSに依存せず航行する技術も搭載する。商船を中心に手掛けてきた中堅造船会社が、防衛市場に進出する新たな事例となる。

日本の造船業再建は、韓国にとって競争激化と協力拡大という二つの意味を持つ。政府支援を背景にLNG船や次世代船舶の国内建造能力を復活させようとする動きは、韓国が強みを持つ高付加価値船舶市場と重なる。一方、ハンファオーシャンの事例のように、韓国の造船業界に新たな事業機会をもたらす可能性もあるとの分析だ。

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