「銀河の終わりの始まりか」アンドロメダ銀河で星の誕生が減少…NASAが見つけた”異変”
星の材料不足ではなく「自然な衰退過程」

アンドロメダ銀河と聞いて、多くの人がアニメ「銀河鉄道999」を思い浮かべるだろう。作中では、主人公の星野鉄郎とメーテルが乗る「銀河鉄道999」の終着駅、惑星ラーメタルがアンドロメダ銀河(M31)にあるという設定になっている。
1924年、米国の天文学者エドウィン・ハッブルは、アンドロメダ銀河が天の川銀河の外に存在する独立した巨大銀河であることを明らかにした。アンドロメダ銀河は、物語や想像の世界の舞台として人々を魅了してきた一方、科学の世界では、私たちの銀河が宇宙のすべてではないことを示し、人類の宇宙観を大きく広げるきっかけとなった。
地球から約250万光年離れたアンドロメダ銀河は、天の川銀河に最も近い巨大銀河であり、肉眼で観測できる最も遠い天体として知られている。直径は約22万光年と天の川銀河の2倍以上に及び、天の川銀河が属する局所銀河群で最も大きく、最も明るい銀河だ。
しかし、アンドロメダ銀河では星の形成活動が徐々に衰えていることが明らかになった。いわば、星を生み出す「工場」の稼働率が低下している状態だ。
米航空宇宙局(NASA)は、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを分析した結果、アンドロメダ銀河の星形成活動が過去5億年にわたって継続的に低下しており、特に直近約4,000万年間でその減少が加速したと発表した。
この研究成果は、国際学術誌「The Astrophysical Journal(アストロフィジカル・ジャーナル)」に掲載された。
「マラソン完走後に息を整えるような状態」…自然な衰退過程
ワシントン大学を中心とする研究チームは、アンドロメダ銀河の円盤の約3分の2に当たる領域に存在する約2億個の恒星を詳細に分析した。銀河全体を一辺約300光年の数千の区画に分け、それぞれの領域にある恒星の年齢や色を調べた。
共同著者のワシントン大学のベン・ウィリアムズ教授(天文学)は、「恒星を個別に分析するのは、それぞれが銀河形成の歴史を物語る『化石記録』だからだ」と説明した。例えば、大質量の恒星は青く寿命が短い一方、小質量の恒星は赤く寿命が長い。このため、最近まで活発に星形成が行われていた領域ほど、青い恒星が多く存在する。
分析の結果、アンドロメダ銀河は約20億年前、別の銀河との合体によって一度「爆発的な星形成」を経験した後、星の形成量が着実に減少してきたことが分かった。5億年前には年間で太陽1個分に相当する質量の恒星を生み出していたが、4,000万年前にはその半分に減少し、現在では約5分の1(太陽質量の0.2倍)の水準まで低下している。
研究を主導したワシントン大学のトービン・ウェイナー研究員は、「アンドロメダ銀河は、まるでマラソンを完走した後に息を整える選手のようだ。新たな星を作る材料が不足しているのではなく、自然な衰退期に入ったのだ」と説明した。
衛星銀河との相互作用が影響か
研究チームは、特に中心部から約3万2,000光年離れた「星形成リング」と呼ばれる領域で、星形成活動の低下が顕著になっていることを確認した。
その原因について研究チームは、約1万6,000光年離れた位置にある衛星銀河「M32」が、約6,000万年前にアンドロメダ銀河の円盤付近を通過したことで、ガスの分布に影響を与えた可能性があるとみている。
研究チームは、「M32周辺の領域では、他の地域に比べて星形成活動の低下が著しいことから、M32との衝突や接近による相互作用が星形成の減少を引き起こした最も有力な原因と考えられる」と説明した。
研究チームは、8月末に打ち上げ予定の「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」を活用することで、さらに詳しいメカニズムの解明につながると期待している。ローマン宇宙望遠鏡は近赤外線観測でハッブル宇宙望遠鏡の100倍以上の視野を持ち、アンドロメダ銀河全体だけでなく、その周辺領域も一度に観測できる。

