自衛隊、指揮統制に国産AI初導入へ 中国製モデルは“排除”し、情報分析や作戦判断を支援
情報収集・分析・評価をAIに任せる
「サカナAI」が最有力候補
外国製最先端AIとの連携を推進
レーダー・戦闘機のサイバー防御も強化

政府が、自衛隊の作戦判断を支援する指揮統制システムに初めて国産人工知能(AI)を導入する。無人機・衛星・センサーから入る膨大な情報をAIが収集・分析・評価し、ミサイル防御など指揮官の迅速な意思決定を助けるためだ。国産AIを中心に、海外の最先端AIとも連携し、中国製モデルは排除して安全保障分野のAI主権を確保する構想だ。
10日、読売新聞は、政府が自衛隊の指揮統制へのAI導入方針を、年末に改定する「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書に盛り込む予定だと報じた。自衛隊の指揮統制システムにAIが導入されるのは初めてとなる。
指揮統制は脅威状況を把握し部隊対応計画を立て、命令を出すまでの過程だ。無人機と衛星、センサー活用が拡大する中、膨大なデータを短時間で処理しミサイル防御などで迅速に判断する能力が重要になっている。
「サカナAI」有力…中国モデル排除
国産AIの中で最も有力な候補はスタートアップ「サカナAI」が開発する「サカナフグ(Sakana Fugu)」だ。複数のAIを統括するAIが、それぞれのAIに作業を割り振る「オーケストレーション」方式で低コストで高性能を実現するのが特徴だ。
政府はこれを米軍などが使用する最先端外国製AIと連携し、国産AIのセキュリティと海外AIの性能を共に活用する方針を検討している。
サカナAIは開発過程で中国AIモデルも活用したが、防衛分野で利用するシステムでは中国製AIモデルを排除する方針だ。開発チームも日本国籍者に限定する。
政府関係者は「データとシステムを外国に依存せず、自国で自律的に管理する『AI主権』を重視する政府方針にも合致する」と説明した。
米軍はすでに、米AI企業パランティア・テクノロジーズが開発した「Maven Smart System(MSS)」を軍事作戦に活用しており、対イラン作戦でも実戦投入された。
防衛省も7日に公表した、国家防衛戦略など安全保障関連3文書の改定骨格に、AIを活用して意思決定の速度と正確性を高める方針を明記した。自民党も6月にAIを自律的に選択・運用できる「AI主権」確立を政府に要求した。
AI指揮統制に合わせ装備のサイバー防御も強化
AI指揮統制強化とともに防衛装備自体のサイバー防御も強化する。日本経済新聞によると、防衛省は早ければ2027年から航空自衛隊レーダーと戦闘機などにサイバー攻撃を検知・遮断するソフトウェアを搭載する。
これまでサイバー対策は内部システムと通信網防御に集中しており、レーダー・戦闘機など個別装備に対する備えは相対的に脆弱だった。航空自衛隊レーダーはミサイル防御の核心である自動警戒管制システム(JADGE)に接続されているため、サイバー攻撃による機能停止を防ぐことが重要だ。
新しいソフトウェアは装備ごとに改ざんを防止する電子IDを付与し、正常機器と偽装機器を区別する。外部の不正アクセスやウイルス侵入を検知すると自動的に通信を遮断し、装備間通信の暗号化と電子署名で情報窃取とデータ改ざんを防ぐ。
IoTセキュリティスタートアップ「ノードクロス(NodeX)」が開発し、既存の装備にも追加導入できる。防衛省はレーダーや戦闘機を皮切りに、AIを活用する無人艇やロボットなどへも適用対象を拡大する計画だ。

