国債利回り抑制を急ぐトランプ政権…ステーブルコインが「助け舟」になるか
発行拡大で米短期国債の需要増へ…長期債の買い戻し通じ金利上昇圧力を緩和

ウォール街の金融機関が主導するドル建てステーブルコインの普及が、米国債利回りの安定にもつながる見通しだ。ステーブルコインの発行量が増えるほど、準備資産として保有される米短期国債の需要が増加し、短期国債の発行で調達した資金を長期国債の買い戻し(バイバック)に活用することで、長期金利の上昇圧力を和らげることができる。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は最近、「スコット・ベセント米財務長官(写真)による債券市場を安定させる取り組みは、ドナルド・トランプ米政権のもう一つの重点課題である暗号資産関連法制の後押しを受ける可能性がある」と報じた。財務省は短期国債の発行を増やし、その資金を元手に長期国債の買い戻しを拡大する「財務省ツイスト」を推進している。米政府債務が40兆ドル(約6,306兆8,000億円)を超える中、財政赤字とインフレへの懸念から長期国債利回りが急上昇しているためだ。
ドル建てステーブルコインと米国債を結び付けるのが、2025年に制定された暗号資産関連法「ジニアス法」だ。トランプ大統領は政権発足当初からドル覇権を強化し、暗号資産業界を育成するとの名目でステーブルコインを積極的に支持してきた。この方針の延長線上で、ジニアス法はステーブルコインを制度の枠組みに取り込むために整備された。施行規則の制定を経て、2027年から本格的に施行される。
同法によると、ドル建てステーブルコインの発行者は、発行額と同額の現金、または満期93日以下の米国債を保有しなければならない。ドル建てステーブルコインの発行が増えるほど、米短期国債の需要も増加することになるのはこのためだ。これは、ベセント長官が推進する「国債の満期構成の調整」とも関連している。財務省が短期国債の発行を増やし、それによって確保した資金で長期国債を買い戻せば、長期債市場の需給を改善し、長期金利の上昇圧力を緩和できる。
ステーブルコイン発行者は準備資産として現金より米国債を選ぶ傾向があるとの分析も出ている。アスペン経済戦略グループは報告書で「銀行に1ドル(約160円)が入ると、このうち約8セント(約13円)が短期国債に投資されるのに対し、ステーブルコインに1ドルが流入すると約80セント(約130円)が短期国債に向かう可能性がある」と説明した。
ステーブルコインが米政府の資金調達の構造を変えるほど成長するには、時間が必要だとの指摘もある。WSJは「ベセント長官は世界のステーブルコイン発行規模が2030年までに3兆7,000億ドル(約583兆4,000万円)に達すると期待している」とし、「2025年に約3,000億ドル(約47兆3,000億円)だった市場規模が10倍以上に拡大しなければ到達できない規模だ」と指摘した。


