中国の軍事AI、米軍の動きを50日前に察知か 実戦運用は米国優位
SCMP「中国企業がAIでイラン戦争を50日以上前に予測」
「パランティアの『ゴッサム』に似た中国版AIプラットフォーム」
「実戦検証と戦場運用能力は米国が優位」

米国とイスラエルによるイランへの先制攻撃を数十日前に予測したと主張する中国のAI企業が「中国版パランティア」と呼ばれ注目を集めている。
6日、香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、中国の精安テクノロジーが、米国によるイラン空爆の50日以上前に、自社のAI分析を通じて中東地域で米軍の偵察資産が異常に集中している動きを捉えていたと報じた。
SCMPは「同社は1月6日にオープンソース情報とAI分析に基づき、米国がすでに軍事作戦を準備している可能性があると予測し、実際の空爆の50日以上前にその予測を公表した」と報じた。
メディアが注目した精安テクノロジーは、浙江省杭州市に本社を置く国防AIおよび防衛技術専門企業で、AI、ビッグデータ、自律システム、高度なセンサー技術を活用して軍や情報機関、公安機関向けにソフトウェア中心の国防ソリューションを開発・提供する企業だ。
従来の武器製造業者とは異なり、ハードウェアよりもデータとアルゴリズム、AIソフトウェアを核心競争力として掲げる同社は、伝統的な防衛産業のように軍から要求された装備を製造するのではなく、自社資金を投入して新技術をまず開発し、その後完成した製品を軍や公的機関に供給する方式を採用している。
同社がイラン戦争を事前に予測する際に使用したと推定されるシステムは「精気(Jingqi)」グローバル状況認識システムだ。
このシステムは、衛星映像と信号情報(SIGINT)、映像情報(IMINT)、オープンソース情報(OSINT)、大規模言語モデル(LLM)などを組み合わせて、全世界の航空機や船舶、衛星、港湾、空港、軍事基地、発射場などの動きをリアルタイムで追跡・分析するAIベースの状況認識プラットフォームだ。軍や政府機関はこれを通じて、全世界の軍事・安全保障動向をリアルタイムで把握できる。
SCMPは「精安テクノロジーの『精気』は米国のパランティアの『ゴッサム』に似た中国版AI指揮統制プラットフォームだと宣伝している」と伝えた。
中国の代表的な経済・産業メディアである界面新聞は「精安テクノロジーとGPU(高性能グラフィック処理装置)企業の精嘉微との協力は『中国版パランティアの構築』に等しい」と評価した。
中国の軍事AI技術、米国に先んじる状況?
同社はイラン戦争発生50日以上前に米軍の軍事的動きを事前に把握し、これを予告したと主張しているが、一部の軍事専門家は精安テクノロジーの宣伝が誇張されている可能性を指摘する。
中国シンクタンク「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)」の胡波所長は「(米国と中国企業の)ギャップは技術そのものではなく、技術を実際の作戦に適用する能力にある。特に意思決定支援の分野では米国がはるかに先行している」と指摘した。中国がAI技術を持っていることは事実だが、実際の指揮・統制と戦場の意思決定に深く統合するレベルでは米国に遅れをとっているということだ。

ただし、胡所長の言及通り、中国のAI企業が実際の軍関連プロジェクトに参加し、政府と連携していることは事実と推定される。
精安テクノロジーは公式ウェブサイトに中国兵器工業集団と中国電子科技集団(CETC)、中国航天科工集団(CASIC)、中国航天科技集団(CASC)などを主要顧客及び協力機関として公開している。中国の公開プロジェクト資料では、戦略支援部隊関連のレーダー監視事業に参加した内容も確認される。
これに関連してSCMPは「中国の課題は単に米国技術を模倣することではなく、AIを軍組織に効果的に統合し、これを運用する制度を構築することだ」と評価した。
中国の軍事関連AIの現状
中国はAIを未来の戦争の核心技術と位置付け、これを軍の近代化戦略の中心に据えている。
人民解放軍(PLA)は、従来の機械化と情報化を超えて知能化(Intelligentization)を目指し、AIを指揮統制(C2)、情報・監視・偵察(ISR)、無人システム、電子戦、サイバー戦など多様な軍事分野に適用している。
ロイター通信は先月31日、「中国は軍事AI技術を急速に発展させているが、依然として米国の先端AIを活用して自社モデルを開発する段階にある」との評価があり、「実戦検証と戦場運用経験は依然として米国が優位だ」と伝えた。
シンガポール・南洋理工大学の安全保障専門家、ジェームス・チャ助教授はロイターに「中国が無人システムやAIなどの先端技術を中心に軍の近代化を推進しているが、戦闘準備態勢と実戦運用能力は継続的な検証が必要な課題だ」と分析した。

