熱海の土石流映像を「ネパール洪水」に偽装 36万回再生、AI画像も相次ぎ拡散

ネパールで起きた大規模な鉄砲水により甚大な被害が出ているなか、「フェイスブック」や「X」などのSNSを中心に、人工知能(AI)が生成した画像や、過去に他の国で起きた災害の映像が、ネパールの現場の様子として加工され、無分別に広がっている。
26日、中国とネパールのヒマラヤの国境の地帯で深刻な鉄砲水が発生し、これまでに160人が死亡し、558人が行方不明になっている。悲劇的な現場の状況が世界に伝えられる過程で、数多くの偽のコンテンツが本物の災害の映像と混ざり合い、大きな混乱を招いている。
「フェイスブック」のある投稿には、名前の分からない村が洪水で壊される前と後だとする刺激的な写真が掲載された。確認したところ、これはAIの画像生成の機能で作られた偽の写真であることが分かり、写真の中には、AIが生成したものであることを示す電子的な識別の印「SynthID」が含まれていた。

こうした偽の画像は、ユーチューブなど他のプラットフォームにも急速に広がった。あるユーチューブの動画は、AIが作った偽の写真から始まり、激しい水の流れで橋が崩れる場面を見せたが、これも加工のツールで手が加えられたか、AIで作られたものであることが確認された。
「X」に投稿された、救助隊員と住民が谷を飲み込む川を見つめる写真も、偽物と判明した。投稿の下部には「Made with AI」という文言が示されており、検証のツールでも機械が作ったものであることが裏付けられた。
過去に他の国で起きた自然災害の映像を、ネパールの状況であるかのように偽った事例も少なくない。再生回数が36万回を超えた「フェイスブック」のある動画は、2021年7月3日に静岡県熱海市伊豆山で発生し、28人が犠牲になった土石流の映像を、左右を反転させて使い回したものであることが明らかになった。
災害の原因をめぐる陰謀論も、インターネット上で広がっている。ある「フェイスブック」の利用者は、本物の土砂崩れの映像を共有し、今回の災害が「HAARPによるものだ」と主張した。HAARPは、米アラスカ大学フェアバンクス校が運営する高周波を使ったオーロラの研究の計画だ。科学者は、HAARPが気象を操作できるという主張について、全く根拠がないと一蹴している。偽の情報が本物の災害の悲劇を覆い隠しているとの指摘が出るなか、インターネット上で批判が相次いでいる。


