「戦闘機1機が933億円?」日英伊が開発する次期戦闘機、ここまで高額になった理由

日英伊が共同開発する次期戦闘機について、日本側が重視する航続距離や武装搭載能力を満たすため、欧州の既存戦闘機より大幅に大型化し、開発・調達費も高額になるとの分析が出ている。
3カ国は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」を通じ、航空自衛隊のF-2と、英国・イタリアが運用するユーロファイター・タイフーンの後継機を共同開発している。
米軍事専門メディア「ミリタリー・ウォッチ」は2日(現地時間)、「GCAPの新型戦闘機は、日本側が求める航続距離を確保するため、非常に大型で高価な機体になる」と分析した。
同メディアは「日本側が求めているのは、単なるF-2の改良型ではない」と指摘。西太平洋の広大な海空域で作戦を遂行し、多数の長距離兵器を搭載できるほか、激しい戦闘空域でも高度なセンサーや電子戦能力を維持できる機体を目指していると説明した。
そのうえで「日本が計画に参加する前に想定されていた機体より、はるかに大型で高コストの戦闘機になる」との見方を示した。
GCAPへの参加には、国内の戦闘機開発・製造技術を高めるとともに、米国製の装備や技術への依存度を引き下げる狙いもあるとみられている。
開発には、英国のBAEシステムズ、イタリアのレオナルド、三菱重工業が参加している。
英国王立航空学会の試算によると、GCAPで開発する次期戦闘機は、全長約20メートル、翼幅約16.5メートル、翼面積約1,200平方フィートとなる見通しだ。現在欧州で運用されているユーロファイターより、約30%大型になる。
航続距離の長さなどから、航空自衛隊が運用するF-15の後継機としても適しているとの評価が出ている。
GCAP戦闘機が大型・高価になる理由

ミリタリー・ウォッチは、GCAPの機体がユーロファイターより大幅に大型化する背景には、日本の地理的条件があると分析した。
日本列島は数千キロにわたって広がっており、航空自衛隊が警戒・防衛する地域と主要な航空基地が大きく離れている。台湾周辺や南西諸島、東シナ海などでの作戦を想定した場合、空中給油なしで飛行できる距離と、長時間にわたって作戦を続ける能力が重要になる。
このため、欧州大陸上空での比較的短距離の戦術任務を前提に設計された戦闘機では、国内の防衛環境に十分対応できない可能性がある。
現在生産されている西側の第5世代戦闘機F-35は、比較的小型の機体にステルス性能やセンサー融合、多用途性を持たせることを重視している。
これに対しGCAPは、航続距離や内部燃料の搭載量、武装搭載能力、発電能力、センサーの探知範囲をより重視して設計されている。
これまでに公表された計画では、大容量の内部兵器庫と長時間の飛行能力が求められている。英国軍が2025年に示した能力概要では、F-35Aの約2倍の武装搭載能力や、空中給油を行わずに大西洋を横断できる内部燃料の確保などが挙げられた。
ミリタリー・ウォッチは、こうした要求によって、GCAPの1機当たりのコストが約6億ドル(約933億円)に達する可能性があると分析した。米国のF-35Aの約9,000万ドル(約140億7,600万円)と比べ、大幅に高い水準となる。
GCAPは第6世代ステルス戦闘機の開発計画と位置付けられている。
一方、ミリタリー・ウォッチは「第6世代戦闘機として宣伝されているが、実際には米国のF-35改良型や中国のJ-20改良型に近い『第5世代プラス』の戦闘機になる可能性がある」と指摘した。
ステルス性能を制約する可能性がある垂直尾翼を採用していることも、その根拠の一つに挙げた。
同メディアは、欧州で過去に進められた複雑な戦闘機・兵器開発計画の実績を踏まえ、GCAPが十分な競争力を備えた機体を予定通り完成させられるかについて、慎重な見方もあると伝えた。
日英伊は2035年までにGCAPの次期戦闘機を配備することを目指している。
