政治圧力より「ブランドの信念」 トランプ氏に反旗を翻す企業
価値観に反すれば公然と批判
パタゴニア、国立記念物の指定区域縮小に反対
対照的な姿勢で思わぬ恩恵を受けた企業も
「一貫性を守ることが長期的には利益に」

ビッグテック企業でさえ顔色をうかがうドナルド・トランプ米大統領の一方的な姿勢に対し、「自分たちの声」を上げる海外企業の事例が注目されている。これらの企業は、政治的な報復を受けることも覚悟の上で、長年かけて築いてきたブランドのアイデンティティーと消費者からの信頼を守る方向に経営方針を定めたと分析されている。
2日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)などによると、アウトドア衣料品メーカーのパタゴニアは、環境団体や先住民団体とともに、米ユタ州の有名な岩峡地帯であるベアーズ・イヤーズの国立記念物の指定区域を縮小する措置を撤回するよう求め、トランプ大統領を相手取って法廷闘争に乗り出したという。トランプ大統領が7月、保護区域の面積を縮小する大統領布告に署名したことを受け、その無効化を求めて提訴したものだ。パタゴニアはトランプ第1次政権時にも同様の措置をめぐって提訴し、自社のウェブサイトに「大統領があなたの土地を盗んだ」と掲げて反対キャンペーンを展開していた。
中小のデジタル地図会社であるマップクエストは、米国とカナダの国境地帯に位置する湖「オンタリオ湖」の名称を「アメリカ湖」に変更するよう求めたトランプ大統領の要求を公然と拒否した。トランプ大統領は、貿易戦争を繰り広げているカナダへの報復措置として湖の名称変更を進めたが、グーグルとアップルは圧力に屈し、米国内の地図サービスで「アメリカ湖」と表示し始めた。一方、これを拒否したマップクエストは、アプリ配信プラットフォームでダウンロード数1位になるなど、思わぬ恩恵を受けた。
トランプ第1次政権時にも、同様の事例があった。2017年にバージニア州シャーロッツビルで発生した白人至上主義者による暴力事件をめぐり、トランプ大統領が消極的な姿勢を示したことを受け、世界的な製薬会社メルクなどの最高経営責任者(CEO)が大統領直属の諮問委員を相次いで辞任し、政治的な問題となった。トランプ政権を象徴する相互関税が最高裁で無効とされたのも、中小企業が訴訟を起こしたからこそ可能になった。
政治権力に屈しない企業の選択について、専門家らは、ブランド価値を守るなど一貫性を貫くことが長期的には経営上の利益につながると判断したためだと分析している。梨花女子大学経営学部のチェ・サンミ教授は、「政治的な二極化が鮮明になるほど、企業の価値観が表れる行動に共感する消費者から強い支持が集まる」とし、「信念に基づく消費」が広がっていると指摘した。
財界で注目を集めている環境・社会・ガバナンス(ESG)経営の一例だとの見方もある。漢陽大学経営学部のイ・チャンミン教授は、「ESG経営の観点から、企業がこれまで築いてきたイメージを維持することのほうが、トランプ政権の圧力に屈することで受ける不利益を上回ると判断したとみられる」と説明した。

