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2026年8月21日(金) 東京 --

「勝利の道は消えた」月3万人が戦場で死傷…それでもプーチンが選んだ“プランD”

昨年まではトランプ大統領の後押しなど複数の選択肢

ロシア側の被害が増え、戦線での決定的な突破への疑問が強まってもプーチン大統領は強硬姿勢
プーチン大統領「西側の停戦要求は時間稼ぎ」と認識

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ(FA)』は先月31日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナ戦争で劣勢に立たされている兆候があるにもかかわらず、なぜ停戦交渉に乗り出さないのかを詳しく分析した。

核心は、外部からの見方とプーチン大統領自身の状況認識には大きな隔たりがあり、停戦によって譲歩する必要性をまったく感じていないという点だ。同誌はそのため、ウクライナと西側諸国は長期戦に備えなければならない可能性があると指摘した。

根拠のあったプーチン大統領の自信

6月末、プーチン大統領はウクライナとの戦争に勝利すると自信を示した。ロシア軍が約1,280kmに及ぶ戦線で、ウクライナ領の占領を拡大していると述べた。

同誌は、20カ月前であれば、こうしたプーチン大統領の自信には根拠があったと分析した。

『フォーリン・アフェアーズ』は、昨年3月時点でプーチン大統領には、およそ3つの選択肢があったとみている。プランAは、ホワイトハウスと協力し、ウクライナにロシアが作成した合意案を受け入れさせることだった。

プランBは、ドナルド・トランプ米大統領がウクライナへの支援を撤回するまで持ちこたえることで、それが難しければ、プランCとして戦闘を続け、戦場で勝利するというものだった。

状況が変わっても「プランD」へ進むプーチン大統領

しかし現在、戦線は膠着状態にあり、ウクライナが一部の領土を回復し、ロシア領内の奥深くまで攻撃を加えている状況で、こうした3つの選択肢はいずれも実現が難しくなっている。

戦争を続ければロシア国民の生活がさらに悪化する可能性があるため、ロシア国内にも交渉を促すエリート層がいる。

代表的な例として、著名な軍事アナリストで、現実主義的でありながら民族主義的な傾向を持つワシリー・カシン氏は5月、ロシアの国内誌への寄稿で、ロシアは短期から中期的には戦場でもはや得られるものがなく、長期戦のコストが戦略的利益を上回り始めていると主張した。

同誌は、カシン氏の寄稿はクレムリン関係者による事前の確認と承認を経た可能性が高く、ロシアの安全保障機関内にいる現実主義派の声を代弁している可能性もあると伝えた。

それにもかかわらず、プーチン大統領にはこうした声に耳を傾ける兆しが見られず、戦争が長期化する可能性が高まっていると同誌は予測した。

プーチン大統領のウクライナ戦争を巡る戦略は、「プランD」へ向かっているということだ。

トランプ大統領が昨年の就任後に示していたロシアやプーチン大統領への友好的な姿勢は消え、ウクライナへの支援が途絶えるというプランBも期待しにくくなった。戦場で勝利するというプランCの実現が難しいことを示す兆候も明白になっている。

ウクライナ軍が「キルゾーン」と呼ぶ地域で両軍が対峙する中、ウクライナによるロシア領内への攻撃は激しさを増している。

それでもプーチン大統領は別の道、すなわち戦争への自信を保ったまま長期戦を続ける「プランD」へ進んでいると同誌は伝えた。

ロシア側の損失拡大、決定的突破に疑問の声

カーネギー財団の軍事アナリスト、マイケル・コフマン氏によると、過去18か月間、ロシア軍兵士の月間死者数は急増している可能性が極めて高いという。全体でみると、毎月、戦死または重傷を負うロシア軍兵士は約3万人に上る。

一方、毎月入隊する兵士の数は2万7,000人まで減少した。入隊奨励金の減額に加え、戦死者の多さが広く認識されるようになった結果だ。

ロシアがウクライナ戦線を決定的に突破できるかどうかへの疑問は、次第に強まっている。

ウクライナは、ロシアの物流・補給線を混乱させる極めて効果的な中距離攻撃作戦を展開し、ロシア軍の進撃を遅らせている。

ウクライナの攻撃により、ロシアの石油精製能力の約3分の1が停止し、6月から7月末にかけてガソリン不足や燃料配給が発生したほか、ガソリンスタンドには長い行列ができた。

7月には、ウクライナがロシア最大のオンライン小売企業「ワイルドベリーズ」の倉庫を爆破し始め、一般消費者にも戦争の深刻さを認識させた。

ロシア政府による今年の国内総生産(GDP)成長率予測は、わずか0.4%にすぎない。今年上半期の財政赤字は730億ドル(約11兆4,900億円)に達し、当初見込まれていた年間赤字485億ドル(約7兆6,300億円)を大幅に上回った。

トランプ大統領による対イラン戦争でロシアの石油収入は増加したものの、十分な外貨準備を確保するのは難しい。

プーチン大統領「西側の停戦要求は時間稼ぎ」

こうした複合的な困難にもかかわらず、プーチン大統領には停戦に合意する意思がないことが、西側諸国の悩みの種となっている。

プーチン大統領は先月27日、「戦場でロシアを敗北させることができない敵は、われわれの国民を標的に露骨なテロ行為を行っている」としたうえで、「しかし、ロシア国民は決して屈服しない」と宣言した。

プーチン大統領は多くの困難に直面しているものの、その強硬姿勢を支えられる要因があるためだ。経済は厳しいものの、崩壊寸前ではない。家計に物価上昇という形で戦争費用を負担させることもできる。

ロシアはGDPの8%を国防費に充てているが、第2次世界大戦当時のソ連や米国、現在のウクライナが支出している約40%と比べれば、はるかに低い水準だ。

国民の不満は強いものの、巧妙な抑圧手段によって、あらゆる反発を抑え込むことができる。経済に対する国民の不満も、次第に高まる愛国心によって相殺される可能性がある。

プーチン大統領が長年主張してきたように、この戦争は国家の存続を懸けたものだとして続けることができるということだ。

独立系世論調査機関「レバダ・センター」の調査によると、ロシア軍の軍事行動に対する支持率は65%を超え、反対は25%未満だった。

同誌は、プーチン大統領が自国の弾道ミサイルの破壊力によってウクライナに対して優位に立っており、ウクライナは迎撃ミサイル不足で脆弱だと確信している限り、自国がどれほどの被害を受けても、ウクライナを消耗させ続けようとするだろうと分析した。

このため、プーチン大統領は、米国や欧州による一方的な対話・停戦の提案を、ウクライナが時間を稼ぐための策略だとみている。

プーチン大統領は6月28日のインタビューで、「もしウクライナが主張するように、より多くの領土を奪還しているのであれば、西側の指導者たちはただ待てばよいのに、なぜ停戦を主張するのか。ロシアの戦略的敗北は自然に訪れるのではないか」と述べ、停戦要求に疑問を示した。

同誌は、こうした状況でウクライナと同盟国は、長く険しい道のりに備えなければならないと指摘した。

ウクライナは開戦以来、最も有利な立場にある可能性がある一方、プーチン大統領も可能な限り長く戦争を続けようとしているためだ。

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