「ミサイル発射の前兆か」金与正氏が日本を名指し警告…金正恩氏委任の異例談話

北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党総務部長は5日、日本の安全保障政策や軍事的な動きを一つ一つ取り上げ、強く非難した。
これは、4日に北朝鮮の軍事論評員と外務省報道官が、米国を中心とする国際社会の連携を非難した姿勢を踏襲したものとみられる。今回の談話は、北朝鮮の金正恩総書記の「委任」に基づいて発表されたとされており、北朝鮮が今後、挑発行為など具体的な行動に踏み切る可能性を懸念する見方も出ている。
朝鮮中央通信によると、金与正氏は同日の談話で、「共和国の武力と軍事指導部は、日本の変化に対応した明確な軍事的選択肢を新たに策定することを、委任に基づき明らかにする」と述べた。
また、海上自衛隊が最近、米国製の長距離巡航ミサイル「トマホーク」の発射試験を実施したほか、5月にフィリピンで行われた米比合同軍事演習「バリカタン」で艦艇撃沈訓練を行ったことを挙げ、「参戦権や交戦権の保有を認めない国際法や自国憲法に反し、先制攻撃能力の保有を公式化した日本の動きが実行段階に入ったことを示している」と主張した。
日本が実戦配備した地対艦誘導弾や滑空弾などのミサイル戦力にも言及し、「日本が武力配備態勢を先制攻撃型、海外侵略型へと再編している」と非難した。
さらに、日本の背後には米国がいると強調し、「欧州では北大西洋条約機構(NATO)をけしかけてロシアを脅かし、中東の平和と安全を損なっている米国が、アジア太平洋地域では日本や韓国を突撃隊として利用し、反帝国主義国家の安全保障上の利益を著しく侵害している」と訴えた。そして、「日本の軍事的変化の過程を決して傍観しない」と警告した。
一部では、金与正氏が金正恩総書記の委任に基づいて談話を発表したことから、北朝鮮が近く弾道ミサイルや巡航ミサイルの発射など、新たな軍事的挑発に踏み切る可能性があるとの見方も出ている。
北朝鮮は最近、日米韓による地域安全保障協力の強化や日本の防衛力強化、NATOの東方拡大、国際社会による対北圧力の強化など一連の動きに対し、論評や談話を通じて相次いで反発している。
専門家は、北朝鮮が米国を中心とする国際社会の連携によって対北圧力が強まることを警戒する一方、これを中国やロシアとの連携強化を進める契機として活用していると分析している。
これに先立ち、北朝鮮が4日、「北朝鮮IT人材共同注意報」を発表した多国間制裁監視チーム(MSMT)の参加国や、環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加した日米韓を非難したことも、こうした動きの一環と受け止められている。
韓国・梨花女子大のパク・ウォンゴン教授は、「北朝鮮は中国やロシアとの協力を正当化する根拠を積み重ねようとしているように見える」と指摘した。その上で、「インド太平洋地域で敵対的な動きが続いていることを強調することで、核兵器の保有は自衛権の観点から不可欠だと正当化する論理も積み上げようとしている」と分析した。

