中国は日本の“新軍国主義”と猛反発…自衛官の大使館侵入で日中関係に新たな火種

村田被告「中国の強硬な外交方針は不当」
8月5日、東京地裁では、駐日中国大使館の敷地に侵入し、建造物侵入、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)違反、脅迫の罪で起訴された陸上自衛隊の村田剛大3等陸尉(24歳)について、勾留理由開示手続きが行われた。
村田被告は意見陳述で、大使館に侵入した動機として、中国の外交政策に対する不満を直接挙げた。そのうえで、「中国の強硬な外交方針は不当であり、改めるべきだ」と主張した。
一方、自らの行動については、「家族や職場、友人など多くの人に多大な迷惑をかけ、非常に後悔している」と述べた。さらに、「二度と同じことはしない」と反省の意を示している。
弁護側は、精神鑑定を担当した医師の見解を引用し、事件直前に服用した抗うつ薬が村田被告の行動に影響を及ぼしたと主張した。ただし、保釈請求は認められなかった。
村田被告は3月、東京都港区にある駐日中国大使館の外壁を乗り越え、敷地内に無断で侵入した。当時は長さ約18センチの凶器を所持しており、大使館職員に現場で取り押さえられた後、警察に引き渡されている。
検察は約3か月にわたって精神鑑定を実施したうえで、7月27日に村田被告を勾留したまま起訴した。
中国側「日本で新軍国主義が台頭」と強く反発
今回の事件を巡り、中国政府は強く反発し、日本政府に徹底した真相究明と厳正な対応を求めている。
駐日中国大使館は起訴直後に声明を発表し、「今回の事件は、日本国内で極右思想とその勢力が大きく広がり、自衛隊に対する管理や教育が適切に行われていないことを如実に示している」と指摘した。
さらに、「日本政府の誤った政策が、『新軍国主義』が勢力を拡大する社会的な土壌となった」と批判している。
中国外務省の林剣報道官も、「日本側は精神鑑定など、さまざまな口実を使って捜査と処理を繰り返し先延ばしし、犯人を速やかに厳しく処罰しなかった」と不満を表明した。
日米フィリピン3か国、対中包囲網を本格化
現職の陸上自衛官による大使館侵入事件は、日本が米国やフィリピンと連携し、中国を念頭に置いた安全保障網を急速に強化するなかで発生した。事件によって、日中両国間の緊張は一段と高まった。
日本は近年、米国、フィリピンとの初の3か国首脳会談や安全保障対話を相次いで開催した。南シナ海や東シナ海で、中国が一方的に現状を変更しようとする動きを阻止するため、3か国による安全保障協力を本格化させている。
3か国は、海上保安機関による合同訓練や共同巡視の定例化を進めるとともに、軍事情報の共有も拡大した。フィリピンの海洋安全保障能力を強化するため、日本製の防衛装備品を提供するなど、中国を念頭に置いた実質的な軍事・安全保障協力も大幅に強化してきた。
中国は、こうした3か国の連携について、「陣営間の対立をあおる排他的な集団だ」と強く反発している。
また、日中両国が領有権を主張する尖閣諸島周辺の海域では、中国海警局の船による領海侵入や、日本漁船への退去要求を巡り、現場での緊張と摩擦が続いてきた。
多国間の安全保障協力を通じた対中包囲網の形成に加え、領土問題や台湾問題など、日中間の構造的な対立は解消されていない。こうした状況で発生した現職自衛官による外国公館への凶器を持った侵入事件は、冷え込んでいる両国関係をさらに悪化させる結果となっている。

