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2026年8月21日(金) 東京 --

中国、北極海航路を定期運航 欧州輸送を半減、物流網を南北に拡大

中国の新たな物流革命、北極航路開通!

「現代版海上シルクロード」開拓を進める中国

欧州向け北極航路の定期運航を開始

中国―欧州間の輸送時間、最大で半減

西南部の平陸運河、9月開通へ

中国製造業と東南アジアの工場を結ぶ新物流網

中国が南北で「現代版大運河」ともいえる物流網の構築に乗り出している。北では、中国・寧波から北極海航路を通って欧州の港へ向かう世界初の定期航路を開設した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)はこれを「アイス・シルクロード」と呼んだ。一方、南では中国内陸部から東南アジアにつながる全長134.2kmの平陸運河が来月の開通を控え、試験運航を終えた。水路を活用することで、米中対立の中で生じ得る地政学的な物流のボトルネックを回避し、グローバルサプライチェーンを強化する狙いがあるとみられている。

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません

◇北では氷を切り開く

11日、FTは中国のコンテナ海運会社シーレジェンドが今週、寧波と英国のフェリクストーを結ぶ北極海航路の運航を開始すると報じた。ロシア北部の沿岸を航行するこの航路で、シーレジェンドは週1便のコンテナ船を運航し、貨物を輸送する予定だ。北極海航路への関心は世界的に高まっているが、定期的な商業運航が始まるのは今回が初めてだ。

この航路を利用すれば、約40日かかっていた中国と英国間の貨物船の航行時間を最大で半分程度まで短縮できるとみられている。ただし、季節や天候によって海氷の状態が変化するため、短縮できる日数にはばらつきが出る見通しだ。

中国は以前から北極圏への関心を強めてきた。2018年には自国を「近北極国家」と位置付け、「第14次5カ年計画」に「極地シルクロード」の建設を盛り込んだ。

北極航路が商業ルートとして定着すれば、中国は欧州向け貨物の輸送をマラッカ海峡、インド洋、スエズ運河を経由する従来の航路だけに頼る必要がなくなる。インド洋や東南アジア周辺で活動する米海軍による封鎖のリスクを回避する選択肢にもなり得る。

ウクライナ戦争の勃発以降、中国との協力を強めているロシアの姿勢も中国にとって追い風となっている。FTは、「ロシアは北極航路を利用した中国向けの原油や液化天然ガス(LNG)の輸送を拡大している」とした上で、「北部の港湾や砕氷船、商船への投資も増やしている」と伝えた。

◇南では運河で東南アジアと接続

同日、中国メディアは、中国西南部の広西チワン族自治区を通る平陸運河の主要工事が先月完了したと報じた。今月初めには試験運航を終え、来月の開通を目指している。総事業費は727億元(約1兆7,200億円)で、5,000トン級の船舶が航行できる。

中国は、平陸運河の開通によって自国西南部だけでなく、東南アジアを含む物流網も大きく変わると期待している。これまで雲南、貴州、重慶、広西など内陸部の貨物を海上輸送するためには、広東省の港湾まで陸路で運ぶ必要があった。

平陸運河が開通すると、南寧を起点とした輸送距離は560kmから291kmまで短縮される。中国当局は、西南部から運ぶ貨物の総物流コストが18~30%、コンテナ1個当たりの物流コストが18~22%削減されると試算している。年間の輸送費削減額は50億元(1,200億円)以上に達すると見込まれている。

重慶など中国西部から鉄道で広西まで鉄道で運んだ貨物を、内陸水運や北部湾の港湾につなぐことができれば、中国西部の製造業にとって東南アジアへのアクセスが大幅に改善する。特に自動車や機械、新エネルギー関連など、中国とASEAN(東南アジア諸国連合)の間で中間財の輸送が多い産業ほど大きな恩恵を受けるとみられる。

こうした物流網の整備は、東南アジアにおける中国の経済的な影響力をさらに拡大する効果もある。中国政府は、平陸運河について、西南部からASEANへ向かう最短で経済性の高い水路になると強調している。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、「中国内陸部から部品や素材を輸出し、東南アジアで完成品を生産するサプライチェーンが強化される」とした上で、「ベトナムなどに工場を持つ中国の製造企業が恩恵を受けるだろう」と伝えた。

これまで「一帯一路」を通じて陸上鉄道や港湾網を拡大してきた中国が、北極航路や運河によって物流ルートをさらに多様化しているとの分析も出ている。北京の研究機関の関係者は、「米中競争は関税や先端技術の規制だけでなく、サプライチェーンや物流網を巡る競争にまで広がっている」と指摘した。その上で、「特定の航路への依存度を下げること自体が、中国にとって経済安全保障上の手段になり得る」と評価した。

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