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2026年9月10日(木) 東京 --

「米国の就職常識が逆転」AI時代に高卒は好調、大卒は最悪の状況に

米国の若者の雇用市場で「逆転した二極化」が起きている。大学を卒業していない若者の雇用市場が20年ぶりの好況となる一方、大卒の若者の雇用は世界金融危機以降で最も低迷している。人工知能(AI)産業を中心とする力強い成長を背景に、雇用市場全体は堅調だ。しかし、新卒の大卒者が担ってきた事務・専門職の人材需要は減少しており、大学卒業がより良い仕事を保証するという通念も揺らいでいる。

◇好況に沸く非大卒者の雇用市場

引用:記事の内容と関連しAIツールで作成されたイメージ/ChatGPT
引用:記事の内容と関連しAIツールで作成されたイメージ/ChatGPT

8日(現地時間)、労働研究機関バーニンググラス研究所によると、大学を卒業していない22~34歳の失業率は過去20年で最低水準に迫っている。高齢層の退職や移民の減少を背景に、熟練技能職の人手不足が深刻化しているためだ。

肉体労働の割合が高く、対面業務が多い職種ほど失業率は低い。サービス業や建設業、製造業など、AIによる代替が難しい生産・現場職が代表例だ。4日に発表された雇用統計もこの傾向を裏付けた。先月増加した米国の新規雇用16万2,000人のうち、飲食店・酒場関連が3分の1以上を占めた。

一方、大卒の求職者は2007年の世界金融危機以降、最悪の就職難に直面している。特に修士以上の学位を持つ人や、科学・技術分野を専攻した求職者ほど厳しい状況にあることが調査で分かった。バーニンググラス研究所のガド・レバノン主任エコノミストは「大卒者と非大卒者の求職者が正反対の状況に置かれている」とし、「通常は景気に関係なく、大卒者と非大卒者の雇用状況は似た動きを示してきたが、今回は対照的だ」と説明した。

背景には、AIが新卒の事務職員が担ってきた初歩的な業務から代替していることがあるとみられる。シカゴの人材採用会社ハイヤーウェルによると、広告・マーケティング代理店の顧客は最近、新入社員をほとんど採用していない。コンサルティング会社フューチャリティも今夏、インターンを採用せず、代わりにSNSに投稿する文章をChatGPTで作成することにした。フューチャリティのビル・バルデラズ最高経営責任者(CEO)はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に「子どもたちにも対人関係能力が必要で、自動化が難しい職業に注目するよう助言した。子どもの1人は警察官になるための準備をしている」と語った。

WSJは「新卒向けの仕事が完全に消えたわけではないが、AI時代に企業が新卒者に求める能力と、大学を卒業したばかりの求職者が備えている能力との間で隔たりが広がっている」と指摘した。

◇職場の業務の境界も曖昧に

AIが職種間の業務の境界を崩していることも、大卒者の就職のハードルを高める要因だ。AIを使うことで、自分の担当範囲を超え、これまで別の専門人材が担っていた仕事までこなせるようになり、企業が必要とする人材の範囲も変わっている。

OpenAIが仕事に関連する会話80万件を分析したところ、約17%が利用者の本来の職務ではなく、別の職種の業務に関する内容だった。自分の職務に関する会話は22%を占めた。残りはメールの作成や会議の日程調整など、職種を問わない一般的な業務だった。

これに伴い、職場での仕事の進め方も変わっている。フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、オランダのメディア企業の広告チームでは、AI導入前、広告企画担当者がアイデアを考えた後、グラフィックデザイナーや写真家など複数分野の専門家と協力し、アイデアを具体化して最終的な成果物を完成させていた。現在は企画担当者が画像生成AI「Midjourney」を使い、作業の初期段階から完成度の高い成果物を作れる。このため、デザイナーなどの役割は、AIを使って作成された企画案を最終的な成果物に仕上げる程度にまで縮小した。研究者は「企画担当者はアイデアを自由に視覚化できるようになったことに満足しており、意図的に同僚の仕事を奪おうとしたわけではない」とした上で、「しかし結果的には、同僚を職場から追い出すことになりかねない」と指摘した。

ゲーム制作企業を対象にした別の研究でも同様の現象が見られた。デザイナーがコーディングを行う一方、プログラマーが画像制作を手がけるといった具合だ。

FTは「職種ごとの業務が特定の領域に固定されなくなった」とし、「AIは異なる職務間の関係にも影響を与えている」と分析した。

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