「イランを最も理解していない大統領」…“脅しも焦りも”見透かされたトランプ、交渉で窮地

ドナルド・トランプ米大統領に対し、「イランへの理解が最も乏しい米大統領」という不名誉な評価が出ている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は4日(現地時間)、「トランプ大統領は、自分を『相手の性格を見抜き、弱点を利用することに長けた人物』だと考えているが、イラン指導部は今も彼を困惑させ続けている」と評した。
実際、トランプ大統領は現在、イランとの合意に期待を示し、世界に向けて自信を強調しているものの、戦争初期に見せていた余裕はすでに失われている。
トランプ大統領は先週末、イランに対する新たな軍事作戦を承認した際、「イランはいつも対話を望んでいるように見せながら、あまりにも頻繁に約束を破る。彼らがしていることは、私を怒らせることだけだ」と不満をあらわにした。
NYTは、「トランプ大統領は戦争期間中、イラン指導部について『狂人』『合理的な人々』『非常に賢い』『完全に正気を失っている』など、相反する評価を繰り返してきた」と指摘した。
そのうえで、こうした発言は、トランプ大統領がイランを深く理解していなかったことを裏付けるものだと分析した。

米シンクタンク「中東研究所」のケネス・ポラック政策担当副所長も、「トランプ大統領は、イラン指導部を最も理解していない米大統領かもしれない」と述べた。
さらに、「さまざまな意味で、彼はイランを巡る米国の挫折を象徴する人物だ」と評価した。
中東外交の専門家デニス・ロス氏も、「われわれがイランを理解するより、イランの方がわれわれをよく理解しているように見える」と指摘した。
そのうえで、「トランプ大統領が戦争を急いで終わらせようとする焦りを露骨に見せたことが、かえってイランに有利に働いた」と分析した。
NYTは、過去にジミー・カーター元大統領、ロナルド・レーガン元大統領、ビル・クリントン元大統領も、イランとの人質交渉や関係改善を試みたものの、成果を上げられなかった歴史に言及した。
そして、「イランとの『大妥協』を夢見た歴代米大統領が共通して味わった挫折を、トランプ大統領もそのまま経験している」と評した。
トランプ氏「4~5日にもホルムズ海峡が開放される可能性」
トランプ大統領は、こうした厳しい評価が相次ぐ中でも、イランとの協議が進んでいると主張した。また、4日にはフォックスニュースに対し、「イランと非常に前向きな協議が進んでいる」とも述べた。
さらに、「海峡は近く開放されるだろう。そうならなければ、イランは大きな打撃を受ける」と語り、交渉が決裂した場合やイランが約束を守らなかった場合、軍事対応に踏み切る可能性を示唆した。
続けて、「48時間以内に結果が分かるだろう。どうなるか見守る。時間は十分にある」と述べた。
米メディアの間では、最終合意が近いとの報道も出ている。
米ニュースサイトのアクシオスは、「米国、イラン、オマーンがホルムズ海峡再開放に向けた暫定合意に近づいており、米政府は5日の発表を目指している」と報じた。
これについて、トランプ大統領も「そうなる可能性がある。明日か明後日ごろだ」と述べた。
アクシオスが引用した情報筋によると、オマーンとイランは、延長可能な60日間の暫定措置を設ける案を協議している。
合意案には、ペルシャ湾へ入るすべての船舶はイラン領海を通る北側航路を利用し、アラビア海へ出る船舶は、イランとの協議を経てオマーン領海を通る南側航路を利用する内容が含まれているという。
また、60日間は通行料や各種手数料を徴収せず、当事国が30日以内に海峡中央航路に設置された機雷を除去する案も盛り込まれていると伝えられた。
トランプ氏、最終的にイランへホルムズ海峡の通航権を渡すのか
一方、一部では、現在協議中の案が、事実上イランにホルムズ海峡の統制権を与えるのと変わらないとの指摘も出ている。
アクシオスは、「今回の合意案には、通航権を巡るイランの要求を一部受け入れる内容が含まれている」と報じた。
そのうえで、「これは戦争以前にはイランが確保できなかった水準の統制権を認めるものだ」と評価した。

現在、国際社会では、トランプ大統領が11月の中間選挙を前に、原油価格や物価の急騰を懸念して全面戦争には踏み切れない一方、「イランにホルムズ海峡の統制権を奪われた最初の米大統領」という不名誉を恐れ、戦争から撤退することもできない状況にあるとの指摘が出ている。
さらに一部では、トランプ大統領による軍事攻撃の圧力が、もはやイランに打撃を与えられなくなっているとの分析もある。
NYTはこれに先立ち、「トランプ大統領が緊張を高めた後、交渉などを理由に方針を撤回していることは、誰が優位に立っているかを示している」と指摘した。
さらに、「イラン当局者は、戦争を恐れているのはイランではなく、トランプ大統領の方だと見ている」と分析した。
そのうえで、「イラン側の専門家は、トランプ大統領の『TACO(タコ、トランプ氏は決定的な瞬間にいつも尻込みする)』パターンを、イラン指導部がすでに読み切っているとみている」と伝えた。
さらに、「イラン指導部がトランプ大統領の脅しにも耐え続けているのは、自分たちが『世界のアキレス腱』を見つけたと確信しているためだ」と付け加えた。

