台湾、月10万機のドローン生産へ 中国に備え非対称戦力を強化
「ドローン地獄」で中国の侵攻阻止へ…5兆4,330億円投入も「実戦ドクトリン」が課題
両岸の戦力格差を埋める非対称戦力…台湾の「ドローン大量生産」は中国を止められるか
指揮統制や作戦ドクトリンの改革、敵の電子戦への対応など実戦運用能力の確保が課題

台湾は、中国による武力侵攻を阻止するため、大規模なドローン戦力の構築を急いでいる。
「5兆4,330億」史上最大の国防予算…ドローン・非対称防衛に集中投入
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)など主要海外メディアや国防当局によると、台湾政府は自国をドローン大国に育成することを目標に、2030年までに月10万機規模のドローン生産能力を整える方針だ。台湾軍も独自に航空・海上無人機21万機以上を確保する計画を進めている。
特に台湾政府は、2027年度の国防予算を前年比16%増やし、史上初めて1兆台湾ドルを突破する約1兆1,000億台湾ドル(約5兆4,330億円)を計上した。中国の国防予算が約46兆1,300億円に上り、通常戦力では圧倒的な差があることから、台湾は単純な数量競争を避け、ドローンや国産潜水艦、機雷など、中国軍の上陸や海上封鎖を阻止するための「非対称戦力」の強化に予算を重点的に投入する構えだ。
低コスト・高効率の無人機運用…ウクライナを参考に
こうした動きは、ウクライナ戦争で威力を示した低コストかつ高効率な無人機運用から直接着想を得たものだ。米軍の指揮官らが発展させてきた、いわゆる「ドローン地獄」戦略は、中国軍が台湾海峡を渡って上陸を試みた場合、ドローンやミサイル、砲兵火力を集中投入し、台湾への接近段階から強力に阻止するという構想だ。
侵攻に伴う人的・物的損失を最大限に膨らませることで、中国指導部に武力行使そのものを思いとどまらせることが主な狙いとなっている。実際、台湾は最近、ドローンや移動式ミサイル、砲兵部隊を統合運用する沿岸作戦司令部を新設したほか、毎年実施する軍事演習「漢光演習」で新型ドローンを試験するなど、実戦配備と防衛網の構築を加速させている。
「大量生産」だけでは不十分…軍改革と電子戦への対応が課題
ただし、台湾がウクライナのような「低コストで高い効果を上げるドローン戦」を再現できるかについては、慎重な見方も少なくない。単に大量のドローンを確保するだけでなく、兵士の運用能力を高めるとともに、最前線の部隊から司令部まで、ドローンが収集した情報をリアルタイムで共有・分析できるよう、指揮統制や訓練、作戦ドクトリンを全面的に改革する必要があるためだ。
中国もウクライナ戦争を分析しながら、ドローンの探知技術や電波妨害技術、自国製の無人戦力を急速に拡充している。このため台湾には、中国軍による電子戦への技術的な備えに加え、無人システムを妨害や攻撃から守る能力を確保することも求められている。
国家総動員の経験なし…台湾海峡に集まる注目
さらに、実際の侵攻を受けて国家全体が戦時体制へ移行し、資源を総動員するとともに、軍組織の変革を迫られたウクライナとは異なり、台湾にはこうした実戦下での経験がないことも弱点として指摘されている。
最終的には、台湾が約5兆4,330億規模の予算を背景に、計画通り圧倒的なドローン生産能力を実現し、軍組織全体の改革を進めて台湾海峡に強固な防衛線を築けるかどうかが、今後の東アジアの安全保障環境を左右する重要な焦点になるとみられる。

