日本の概算要求、過去最大の140兆円超へ…財政悪化に「赤信号」
補正予算を抑え当初予算を拡大…国債40兆円を意識も消費税減税の財源確保に難題

日本の各省庁による2027年度予算の概算要求総額が、過去最大となる140兆円を超える見通しだ。長期金利の上昇で国債発行も限界に直面する中、高市早苗首相の公約である食品にかかる消費税の減税に必要な財源も確保しなければならず、日本の財政に「赤信号」がともっている。
8月31日、日本経済新聞は、各省庁が財務省に提出した概算要求を集計した結果、2027年度予算の概算要求総額が143兆円前後に達し、「コロナ禍の水準に匹敵する」と報じた。
これは、市場が消化できる予算総額の一つの目安とされる2025年度補正予算と2026年度当初予算を合わせた140兆6,000億円を約3兆円上回る。これに先立ち、日経は「財務省と市場では、2025年度補正予算と2026年度当初予算を合わせた140兆6,000億円が一つの基準として挙げられ、この数字を意識する雰囲気が強い」と伝えていた。
高市政権の「積極財政」方針が、予算編成の方法にも反映されたとの分析がある。高市政権は、これまで毎年大規模な経費を計上してきた補正予算を必要以上に編成する慣行を改め、適切な事業は当初予算に反映する方針だ。政権の重点政策である危機管理や成長投資のための別枠も新設し、要求額に上限を設けないこととした。
こうした状況から、概算要求総額も大幅に膨らんだ。2026年度の当初予算は122兆3,000億円だったが、2027年度の概算要求額は16%増の143兆円となった。これまで補正予算に盛り込まれてきた政策も当初予算に組み込まれたことで要求額が膨らんだうえ、各省庁が金額を明示せず事業項目だけを提出する制度もあり、実際の要求規模は140兆円を上回る可能性がある。
一方、財源確保策は不透明だ。日本政府は税収と税外収入だけでは歳出を賄えず、新規国債を発行してきた。しかし31日の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが一時2.950%まで上昇し、1996年9月以来約30年ぶりの高水準を記録した。国債発行も限界に直面している状況だ。国債発行額が急激に増えれば、国債価格が下落し、金利上昇につながる可能性があるためだ。
実際、長期金利の上昇に伴い、国債の利払い費などの歳出も増加している。財務省は、国債の元利金の支払いに充てる国債費として36兆6,386億円を要求している。これは2026年度当初予算比で17.1%増となり、過去最大の規模だ。利払い費の算定に用いる想定金利は3.8%とし、2026年度の3.0%から引き上げる。
2025年は補正予算を含む年間の新規国債発行額が37兆3,000億円で、2026年は32兆6,000億円にやや減少した。このため市場では、2025年の補正予算と2026年の当初予算の国債発行額を合わせた40兆円程度が、市場への衝撃を和らげるための上限とみられている。これを受け、日本政府内では新規国債発行額を40兆円程度に抑える案も検討されているという。
高市政権の代表的な公約である食品にかかる消費税の減税にも財源が必要だ。来年春に施行予定の政策により、税収の減少額は約4兆円に達する見通しだが、高市首相は「赤字国債に依存しない」と述べ、赤字国債への依存には否定的な姿勢を示している。
しかし、現実的には国債発行なしに財源を確保するのは容易ではない。内閣府が7月に公表した中長期の経済・財政見通しによると、2027年度の一般会計歳出は138兆1,000億円、税収は90兆5,000億円、税外収入は8兆3,000億円と見込まれている。この見通しに消費税減税を反映すると、実際の税収は約4兆円減少する。新規国債発行額を40兆円程度に抑えれば、歳入が不足するというのが日経の分析だ。
安全保障関連予算も増える可能性がある。年末には日本の防衛政策に関する安全保障関連3文書が改定される予定で、防衛省は2027年度予算として8兆9,000億円を要求したが、文書改定に伴い、さらに増額される可能性もある。このため市場では、予算要求段階で事業規模が大幅に膨らみ、財政悪化への懸念が金利上昇につながることを警戒する声も上がっている。


